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ガールズ‘ アイズ
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そこは、簡素な部屋です。
わたしの目の前には、小さなディスプレーが置かれています。
それ以外には、ベッドとテーブル、それにいくつかの書籍の入った本棚しかありません。
誰がわたしをここに連れて来たのか、まったく分かりません。
分かることは、この部屋のちょっとしたルールだけです。
そのルールは、小さなディスプレーに表示されています。
真っ黒な画面の上に白文字で、箇条書きで書かれています。
その右隅には、3つの数字が表示されています。
“closed eyes”、”opened eyes”、”dead line”の3つの文字とともに。
画面の向こうで、誰かがこの部屋の様子を見ているのは、間違いのないことでした。
これらの言葉の本当の意味は、わたしにはよく分かりません。
ただ、”dead line”のカウントダウンと、その下に書かれた文字が重要であることは、もう誰に言われなくても理解していました。
“Am I a person that you need?”
この部屋に置かれている辞書で調べたとき、わたしは悟ってしまったのです。
その時わたしは、今までの――というほど年を重ねているわけではない――の人生の中で、初めて“生きる”ということを考えたのです。
生きるということは必要とされること。
必要とされるということは、生きる“価値”を他者が値踏みをするということ。
わたしには何か、才能があるというわけではありません。
それでも、”生きる“価値”があるということを、”dead line”までに認めてもらわなければならないのです。
それが、この部屋から出る唯一の方法なのですから。
画面の1番下に書かれた文字。
“THAT I LIVE”
それこそが――
“EYES’ ROOM”
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