「超ドベタ恋愛ストーリー」
窓からくる暖かい日の中に、君がいたという事だけ覚えている。
ピ
ッ、ピッ、ピッ。
時計のアラーム音とよくわからない夢が、まだ頭の中を駆け巡っている。それも、次の電車を知らせる車掌の名に甲高いサインと、それを待つ乗客達の声によってかき消された。
眠い。
スマートフォンのロックを解除すれば現れし、「月曜日」の表記。
目にすることはできないけれど、確実にメガネのフレームと同化している目のくま。
暇つぶしに開いた動画サイトの広告。
全てにイライラが存在する。
若干の意識の剥離を感じつつ鑑賞を続けていると、linoアプリが鳴った。その「ひょこん」という音すら、今の僕は憎悪の対象として受け取ってしまう。
なんだ?
「後ろを向け」
仕方ない。要望通り後ろを向こうではないか。まあ、これが友達でもない奴なら華麗にスルーを決めていただろうが……
って思ってたら、僕は唇を奪われたわけだ。