安眠文学
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ひとりぼっちの狼
ぱぴこ
投稿時刻 : 2018.03.12 23:27 最終更新 : 2018.03.12 23:34
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ひとりぼっちの狼
ぱぴこ


 狼はひとりで森に暮らしていました。
 ときには腹を減らし、ときには罠にかかりそうになり、じぶんはどうしてひとりなんだろうと考えることもありました。
 けれど狼は気ままに暮らしていました。すきなときに寝て、すきなときに遊ぶ。狼は、さみしいとおもうとこはありませんでした。

 ある日、狼は森の中でひとりのおんなのこを見つけました。
 赤いずきんをかぶています。

「あのこもひとりぼちなんだろうか」

 花を摘みたのしそうにする赤ずきんのおんなのこを見かけて、そのときはじめて狼は「ともだちがほしい」とおもうようになりました。

 あくる日もあくる日も、森へやてきてはひとりであそぶおんなのこを見ていた狼は、おんなのこがひとりでさみしがているのかもしれないとおもうようになりました。

「よし、それならぼくがともだちになてあげよう」

 狼はそれからもただおんなのこを見つめていましたが、ある日彼女が手提げのかごを持て歩くのを見て、ついていくことにしました。

「そうか、おんなのこにはおばあさんがいたのか。じあおんなのこをびくりさせて、ともだちになるきかけにしよう」

 狼はおばあさんの家まで先回りして、おんなのこを迎える準備をしました。
 おばあさんの服を着て、おばあさんのめがねをかけて、するりとベドにもぐりこみました。
 さあ、いよいよおんなのこがやてきます。


 けれど、狼の夢はかないませんでした。
 おばあさんに助けを求められた猟師が、おんなのこよりも先にやてきたのです。

 狼はながい眠りにつきました。
 おんなのこに花冠をつくてもらい、いに笑う夢をみながら、はじめてのともだちといつまでもたのしく暮らしましたとさ。
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