てきすとぽい
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第48回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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人生は大博打
(
淡月悠生@創作
)
投稿時刻 : 2018.12.15 23:47
最終更新 : 2018.12.16 00:01
字数 : 1964
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更新履歴
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2018/12/16 00:01:13
-
2018/12/15 23:49:16
-
2018/12/15 23:47:00
1 / 2
人生は大博打
淡月悠生@創作
ㅤ
……
お
っ
と、今日の客は俺だけか。邪魔するぜ。
マスター
、今日はいつにも増して無口だね
ぇ
。ま、とりあえず聞いてくれ。さ
っ
き恐ろしい目に遭
っ
ちま
っ
たんだ。
ㅤな
ぁ
に、することがね
ぇ
っ
てんでフラフラ歩いてたらよ、黒いコー
トのガキに出会
っ
たんだ。大人用のコー
トを着た、痩せぎすのガキだ。
「どうした坊や、迷子かい?」
ㅤ俺にもあれぐらいの息子がいるからよ、気にな
っ
て声をかけたらそいつ、妙に大人びた口調で喋り出しやが
っ
た。
「ああ、道には常に迷
っ
てるぜ。旦那もそうだろ?」
ㅤ随分とませたガキだと思
っ
たが、まあ、ガキだからこそ変に擦れたやつもいるもんだ。そこは気にしね
ぇ
。
「ところで旦那、俺とち
ょ
っ
くら勝負でもどうだい?」
ㅤ久々に息子ぐらいのガキと遊んでやるのも悪かね
ぇ
と思
っ
て、う
っ
かり誘いに乗
っ
ちま
っ
た。
……
これが大間違いだ
っ
た。最初は勝
っ
てた
っ
てのに、いつの間にやらこ
っ
ちが任されて大損だ。
ㅤ
……
なんだよマスター
。さ
っ
きから無視しちま
っ
て。どうせ大金でも賭けたんだろ
っ
て馬鹿にしてんだろ?
ㅤああ、そうさ。ポケ
ッ
トにいくらかあるから増やそうと思
っ
て賭けたら大負けだ。
……
だからこうや
っ
てあんたに金を無心しに来たんだよ。な
ぁ
、いいだろ?死ぬまでにはツケで払うからさ、いくらか貸してくれよ。
ㅤ
……
思えば、最初
っ
から全然口を挟んでこなか
っ
たじ
ゃ
ね
ぇ
か。どうしちま
っ
たんだい。
……
ケ
ッ
、俺みたいなろくでなしに貸す金なんてね
ぇ
っ
てか?
薄情だね
ぇ
。そこそこ仲良くしてるつもりだ
っ
たが、そんなに無視するほど俺が嫌にな
っ
た
っ
てか?
「旦那、話はついたのかい?」
「ち
っ
と待ちやがれ坊主」
「
……
言
っ
とくが、代金なんざいらね
ぇ
ぜ。そんなモンに意味なんてね
ぇ
からな。
……
俺にも、アンタにも」
ㅤマスター
、何泣いてやがんだ。客の前で泣く阿呆がいるかよ。
……
マスター
?おい、どうしたよマルコ。なに号泣してんだよ。
「
……
いつもなら、お前さんはここに来てくだらね
ぇ
話をしてたんだろうな
ぁ
。ちくし
ょ
う、いくらなんでもこんな早く死ぬこたね
ぇ
だろ。ちくし
ょ
う
……
」
ㅤ
……
マルコ
……
?
「
……
や
っ
ぱ気づいてなか
っ
たか、旦那。幽霊になり立てで慣れてなさそうだ
っ
たもんでね。ち
ょ
っ
くら遊んでや
っ
たのさ。楽しか
っ
たぜ?」
ㅤああ、そうか。
……
死んじま
っ
てたのか、俺
……
。
ㅤ何だ、じ
ゃ
あ、ここの酒ももう飲めね
ぇ
のか。
……
ツケも払えね
ぇ
で、済まね
ぇ
な
ぁ
。
ㅤもう、あいつに釣
っ
た魚も食わせてやれね
ぇ
し、息子に漁を見せることもできね
ぇ
っ
てか。海の男
っ
てのは、ほんとにいつ死ぬかわかり
ゃ
しなか
っ
た
っ
てこ
っ
た。
「お
っ
と、嘆くには早
ぇ
。いい方法があるぜ。ツケを払うために、もうい
っ
ち
ょ
賭けてみるのはどうだい」
ㅤ人がしんみりしてんのに、このガキは楽しそうなこ
っ
て
……
。
「カモにしてんじ
ゃ
ね
ぇ
よクソガキ。お遊びなら他所でやりな」
「いいや、旦那。幽霊の賭け事で必要なのは金じ
ゃ
ね
ぇ
。
……
生命力だ。理屈なんざどうだ
っ
ていい。死に別れたダチ公に、息子に、嫁さんに会いたかね
ぇ
かい?」
「
……
随分と口がうまいこ
っ
て。
……
分か
っ
たよ、今度こそ大勝ちしてやら
ぁ
……
!」
ㅤどうせ死んでんだ。これ以上失うものなんざね
ぇ
。パー
ッ
とや
っ
ちまおうじ
ゃ
ね
ぇ
か。嘆いて死ぬなんてま
っ
ぴらごめんだ。
「
……
そう来なく
っ
ち
ゃ
な、旦那。人生は楽しんだもん勝ちだ」
ㅤガキはニヤリと笑
っ
て、色あせたカー
ドを配
っ
た。
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