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ビューポイント
(
小伏史央
)
投稿時刻 : 2019.05.19 07:16
最終更新 : 2019.05.19 07:29
字数 : 1275
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2019/05/19 07:29:15
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2019/05/19 07:25:50
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2019/05/19 07:16:09
ビューポイント
小伏史央
「ぴかぴか光
っ
てばかりいるから、あれが星だと思
っ
ていたよ」
「 」
「けれども星ではなか
っ
たね。気付いたときには遅か
っ
た」
「 」
「気付いてなくても遅か
っ
たけど」
「 」
「び
ゅ
うび
ゅ
う、ごう
っ
、と風が鳴る。渦巻き描いて白くなる」
「 」
「白くな
っ
たら固ま
っ
た。お塩のような塊の」
「 」
「でもそれも雲じ
ゃ
なか
っ
たんだね。私は何も知らなか
っ
た」
「 」
「空はす
っ
かり空じ
ゃ
なか
っ
た。どこにも本物なんてなか
っ
た」
「 」
「わからなか
っ
たよ。この目が晴れるまでは」
「 」
「きみのことも人間だと思
っ
ていた」
「 」
「けれども実際は
……
」
「
……
ねえ、聞いてる?」
「あ、ごめん。なんだ
っ
け」
「またぼー
っ
として。夏樹のこと!」
「ああ、ここでバイトしてるんだ
っ
け」
「そ。金魚すくいのとこでや
っ
てるんだ
っ
て。行こ行こ」
「でも生き物はち
ょ
っ
と」
「まあ、遊ぶ必要はないんじ
ゃ
ない?」
「そうかな」
「そうだよ。ひやかしだよ」
「まあ、それくらいなら」
「全然客来なくて暇してるんだ
っ
てさー
」
「なにか差し入れしてく?」
「お、いいね。焼きそばとか?」
「焼きそば通り過ぎたよ」
「あ
っ
ちにも見えるじ
ゃ
ん」
「でも列がすごいよ」
「あ、花火」
「もうそんな時間なんだ」
「あはは。見えねー
」
「音だけだね」
「お、あ
っ
ち行
っ
たら見える
っ
ぽい」
「夏樹のとこと真逆だけど」
「いいじ
ゃ
ん。あ
っ
ちの空いてるとこの焼きそばも買
っ
てこうよ」
「そうだね」
「ほら早く」
「おおー
、見えるね」
「土星だ!」
「今度は鈴の形」
「一貫性がないな
ぁ
」
「でも綺麗だね」
「綺麗だ」
「ハロー
」
「よー
遅か
っ
たじ
ゃ
ん」
「花火見てたんだ」
「これ差し入れ」
「お、ありがと」
「これ金魚?」
「あはは。見えねー
」
「うるさいな。金魚
っ
ていえば金魚なんだよ」
「こり
ゃ
客も寄り付かないわ」
「でも生き物ではあるんでし
ょ
?」
「さあ、バイト程度には詳しいことはわからん」
「でも生き物じ
ゃ
ないと生きてないでし
ょ
」
「それなー
」
「ち
ょ
っ
とすく
っ
てみようかな」
「さ
っ
き遊ばない
っ
て言
っ
てたじ
ゃ
ん」
「なんか見てたら気が変わ
っ
ち
ゃ
っ
て」
「すく
っ
たら育てるの?」
「すくえなくても一匹はあげるよ」
「うん。育てようかな」
「趣味悪いねえ」
「はい」
「はい。まいど」
「あ、水面に花火が映
っ
てる」
「こ
っ
からじ
ゃ
花火見えないはずだけど。あれ、ほんとだ」
「角度の問題じ
ゃ
ない?」
「そうなのかな」
「お、上手いじ
ゃ
ん」
「えへへ」
「や
っ
ぱ金魚に見えないよこれ」
「いいんだよ。金魚
っ
ぽければそれで」
「金魚
っ
ぽくもないでし
ょ
」
「でも育てるよ。生き物だから」
「推定だけどな」
「店番しながら何してたの?」
「うー
ん。星見てたかな」
「星?」
「ほら、明るいけど見えるんだよ」
「ほんとだー
」
「ここ、花火は見えないけど花火の光のもやみたいなとこは見えるね」
「そうでし
ょ
。でも星も鮮明に見える」
「不思議ー
」
「自然の神秘だよ」
「やめて」
「 」
「たとえと
っ
くに終わ
っ
ていたとしても、あのとき確かに生きていた」
「 」
「たとえ何もかも偽物だ
っ
たとしても、私は幸せだ
っ
たのに」
「 」
「この目は開いてしま
っ
た」
「 」
「この目を開かせたきみを決して許さない」
「 」
「許さないから」
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