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第10回 文藝マガジン文戯杯「気づいて、先輩!」
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雨に歌えば
 投稿時刻 : 2020.01.31 19:21
 字数 : 1904
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目次
1. 私は高校の玄関で立ち尽くしている。
2. 傘は翌日、きれいにして、学校へ持ってきた。
3. 先輩と働き出すと、楽しかった。
4. 翌日の放課後、文芸部の部室へ行き、ドアをノックした。
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雨に歌えば
樋口幸人


 私は高校の玄関で立ち尽くしている。
 外は雨がざーざーぶりだ。
 私は傘を持ていない。
 正確に言うと、今朝、登校した時の傘がなくなていた。
 傘立てに入れておいた傘が下校しようとしたらなくなていた。
 誰かが勘違いで持ていたのだろう。
 平凡な傘だたからしかたがない。
 普段は折りたたみ傘をかばんに入れているが、昨日使い、今日は家で干していた。
 だが、この雨の降り方だとバス停に着くまでに制服がずぶ濡れになてしまう。
 困た。
 そこに男子生徒の声が背中からした。
「君、傘がないの?」
 私は、振り返た。そして。
「はい。どうも傘がなくなたようで」
 男子生徒は私より背が高いが、そんなに高くない。
 ハンサムではないが、温厚そうな雰囲気をまとていた。
 そうすると、男子生徒は紺色の傘を出してきた。
「これを使いなよ」
「いいのですか?あなたはそれしか傘を持ていないようですが」
 そう言うと、男子生徒は私の手に傘を握らせ、雨の中に走り去ていた。
 私が声を出そうとする前に校門をすでに出ていた。
 私は困た。
 だが、その厚意を無駄するのにも失礼だと思い、その傘を使うことにした。
 なに、同じ学校だから、また会えるだろうと思た。
 その時にお礼は言おう。
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