てきすとぽい
X
(Twitter)
で
ログイン
X
で
シェア
第57回 てきすとぽい杯
〔
1
〕
…
〔
3
〕
〔
4
〕
«
〔 作品5 〕
»
〔
6
〕
〔
7
〕
…
〔
13
〕
いい世界
(
ひやとい
)
投稿時刻 : 2020.06.13 23:34
最終更新 : 2020.06.13 23:38
字数 : 875
1
2
3
4
5
投票しない
感想:3
ログインして投票
更新履歴
-
2020/06/13 23:38:42
-
2020/06/13 23:34:48
いい世界
ひやとい
バスは疲れない。
もともと左膝が悪く、年を追うごとに駅構内を昇
っ
たり降りたりがしにくくな
っ
ているので、来ればすぐに乗れるのがありがたい。
遠いところへ急ぐなら電車のほうがいいことも多いが、都内の隣の区へ行くくらいの距離なら、わざわざ迂回路のバスを選ぶ事が多い。路面電車ならも
っ
といいが、もうそんな時代でもない。
そういう選択をしはじめてまだ数年だが、それだけ年をと
っ
てきたということだ。小学生以来の左膝の痛みは、中学の頃に半月板損傷にな
っ
たり三十代で半月板そのものを取る手術をしたりで、緩くではあるが悪化の一途だ。そのうち杖を使うことになるかもしれないが、できるだけあまり無理しない範囲で鍛えておき、少しでも衰えをカバー
したい。
そんな調子で日々を過ごしているわけだが、そんな中、ついこの間も買い物でバスに乗
っ
た。最寄りのバス停から一本で行けるスー
パー
で買物をするためだ。近所にも小さなスー
パー
はあるが、そこよりも安いのが魅力だ。
大きなリ
ュ
ッ
クサ
ッ
クを背負い、バスを待
っ
て、来たらすぐ乗
っ
た。このご時世で車内の窓は換気のためすべて開けられ、どこに行
っ
ても風が吹き抜けるようだ
っ
た。乗る人も少なく、すんなり座席が確保できた。開いていればだいたいは一番後ろの端
っ
こか、降車口の後ろの席に座るが、その日は降車口の方を選んだ。スー
パー
に着くまでは二十分と少し。リ
ュ
ッ
クを膝の上に乗せて座り、窓枠の下に肘を乗せて頬杖をつきしばしぼんやりした。
気づくと異世界だ
っ
た。
「なんでー
スー
パー
行けないじ
ゃ
ん! 金返せ! てか元の世界に戻せ!」
立ち上が
っ
て運転手に叫んだ。
「いやー
なんだか知らないですけど、どうしても異世界
っ
て書きたか
っ
たみたいですよ」
「誰が書きたか
っ
たんだ? 知るかそんなの! はよ戻せ! 返せ!」
「お客さん」
「なんだよ!」
「昔から言うでし
ょ
、バスガス爆発
っ
て
……
」
運転手が言うやいなや、バスはガス爆発した。
俺は吹
っ
飛び、そして空中を漂
っ
た。
でいろいろあ
っ
て帰
っ
て来たわけだが、洒落で爆発するなんて、シ
ャ
レにもならんと思いましたとさ。
めでたしめでたし。バスだしかつおだし。
←
前の作品へ
次の作品へ
→
1
2
3
4
5
投票しない
感想:3
ログインして投票