漢字三題「緩、応、子」 これらの文字を、タイトルまたは本文で使用してください
今回調子悪いんで旧作でも読んでもらえたらいいなあと思
ってます。
「世界中の誰よりもっと」
騒がしい風景は彼のもとを通り過ぎながらじっと様子を伺っていたのだが、焦れたらしく向こうの標的を探しに旅へ出た。助かった彼は一安心して一服茶屋で団子などを平らげていたが飽きてくると立ちあがり西へ西へと歩くことにした。なんでも西の方角には天狗の面がビル群をかいくぐりながら空を飛び、光線のようなものを発しているというので常人は旅を避けなくてはならなかったのだが、彼には避けられない事情があった。歩きながら、師匠の言いつけを思い出す。
──ヨータや、お前は数千年もわしのもとで修行に励み、イタミに耐えてがんばった。感動した!
師匠はその時、いまさら小泉語録などを読んで感動しているらしかったが、余計なツッコミを入れることはしなかった。何にハマッてもいい、幸せならば。と、彼は今までに出会った数千人を超える、生きる希望をなくした日雇い派遣労働者のことを思いつつ、そう念じた。
──で、だ。わしはお前を野に放つことにした。もうわしに残された時間も少ない。お前の人生をこの上わしの道楽につき合わせるわけにもいかんじゃろう。そこでだ、お前には今までに積み重ねてきた秘術を、外科医、もとい下界のもののために奉仕することにつかってほし~の。そういえばヨータ、ほし~のあきちゃんと付き合うにはどうしたらいいかのう。わしはのう、ほし~のちゃんのあの大きな胸に似合わぬ妙に不自然に細い胴に、このあごに蓄えたよく伸びる髭を巻きつけてからあきちゃんの体をコマのように、あ~れ~あ~れ~と言わせながら回し、回り終わればまた巻きつけ同様にするのが後生の願いなのじゃ。ああ、あきちゃんのあのか細い身体が、このわしのひげに巻きつかんとする時、あきちゃんがその気持ちよさのあまり思わずこう叫ぶのが目に見えるようなのじゃ。ロールミー! ロールユー! オーマーリルーガー!
あんたは変なギャグマンガの読み過ぎではないかと彼は思ったが、やはり師匠にたいしてツッコミを入れる事はなかった。さすがに北海道札幌市中央区南9条西12丁目に生を受けただけのことはあった。そこの産婦人科ではおはようからおやすみまで暮らしを演出したりしなかったりする人をかなりの割合で輩出していたというののだから、彼にもその土地の人間としての誇りというものが強くあった。人間辛抱だ。辛抱すれば花が咲くというものだ。花が咲く、はながさく、は、永作博美は今何してたっけ。イーナーネーで調べないと。彼はCMで外人がしゃべるインターネットという言葉がどうしてもイーナーネーに聞こえてしまうので、面倒くさくなってインターネットのことをイーナーネーと呼ぶ事にしている。そんなことを考えつつもそのうち師匠の回想につきあうのが面倒くさくなった彼は、とにかく西に行かなければならないことになっているんだろうと考えていたので、逆らわずにそうすることにした。
彼が西に向かうに当たって先の師匠から伝えられた事がいくつか教えられたはずだったが、何故か彼にはまったく思い出せなかった。彼はひとたび現場に着くとそれまでの行動の目的や必要にして十分な数々の技を繰り出す事ができるのだが、場所に向かう道中ではそれを思い出せないでいる事が頻繁にあったので、まあこれもいつもの事だろうと軽く考える事にした。ある時などは軽く考えすぎて目的はおろか目的地自体を忘れてしまう事もあった。そんな時はたいてい天界の師匠から声がしておまえは何をしているんじゃと注意が入るので事無きを得るのだが、ひどい時などは師匠がみんなのウマ倶楽部でハシッテホシーノ勝利記念コスプレをしているほしのあきの艶かしい姿態に心を奪われているので注意を与えられずそのままどうしたら行けるのか教えて欲しいくらいの国に行ってしまったりしまわなかったりするのでしかたなくそこの住人として一生を終えたり終えなかったりするので始末に困り、7回生まれ変わった後に目的を達成することもないわけではなかった。対策に困った師匠は彼をいっそのこと破門にして新しい弟子でも取ろうかと七転び八起きもとい七転八倒するのだがそうこうしているうちに時が過ぎ河は流れいつのまにかすべての問題は解決しているのが大方の予想だった。オッズは7回生まれ変わるうちの3回目で目的を思い出すが一番人気の2.8倍だった。そうしたくじはだいたいイギリスの見た事もない街角に売っているそうなのでイギリスに行った事のあるどっかの誰かに聞いて訪ねて回ったり庭ぼうきを野球のバットに見立てて振りまわしていればクリケットのメンバーに入れることももしかしてあるかもよ。さあキミも、BBCワールドでその勇姿を世界中の人に晒してみないかい?
さて、今回は師匠もいない、正確に言うとまだ死んではいないのだが今回から面倒はいっさい見ないし残された人生をお前の監視などに使うのはもったいないわいわしゃこれからほっし~のあきちゃん(一文字加わった)とユッキーナの区別をつけに東京競馬場に行ってくるわいと大天使ミカエルとかいう者のように甘い香りを残して旅立った、という事でしっかりと2冊で100円もするメモ帳のようなノートに目的地を書きこんだおかげで忘れずに来ることが出来た彼なわけなのだったが、はて空飛ぶ天狗はどこじゃらほいと目を当たり一面に凝らしてみると、果たしてそのような姿はどこからも確認する事は出来なかった。しかたなく彼は天狗が現れるまでこの地にとどまる事を決意し、とりあえず新宿2丁目で新しくオープンしたという24時間1600円というネットルームとかいうところに陣地を置くことにした。そのネットルームにはシャワーもロッカーも備えてあり、当然新宿副都心のビル群からも近いのでそこにいち早くたどり着く事が出来る。いまどきビル群といえば新宿だろう。他に霞ヶ関にもビル群などあるであろうと思われたので、そこにほど近いところなどという選択もあるにはあったが、自分の持ち金だけを残すために日々活躍していらっしゃるエッリートのやんごとなき方々などを助ける義理もそうないだろうと思い取りやめる事にした。それに、新宿近くには代々木がある。代々木といえば日本が世界に誇るべき2大施設がある。日本共産党本部と国立競技場である。日本共産党がなければ派遣切りで日夜苦しんでいらっしゃる労働者の方々をJMIU等の組合活動で支援する事もあまり芳しくなくなってしまうし、そういえば筆者も何年か前に失業保険をもらうために一度助けてもらった事があるが、その後選挙があった際には組合の人を通じてぜひとも我が日本共産党に投票をお願いしたいみたいな事を言われはいわかりましたと二つ返事で引き受けたのはいいのだが投票当日にそのことをレッセフェールがごとく忘れまくり普通に民主党に票を投じたわけ次第なのだが、まあそんな感じだ。もやいにでもまかせておけばいいのかもしれないが今のままではまだまだ規模が小さすぎるだろう。それに国立競技場がなければ、サッカー日本代表が東京で試合を開催したり石原プロが裕次郎何回忌みたいな事をするスペースがなくなってしまう。特に後者は極めて重大な問題で、そのことを軽視すると戦中派や団塊の世代の方々が暴動を起こしかねない危険性がある。その世代の人達を舐めてはいけない。かっては日米同盟という日本にとって少なくとも経済的には大変にありがたーいものを(と小室直樹さんが言ってたよ)アメリカ様が結んでくださるというのにこともあろうによくわからず反対して安田闘争とか中ピ連とか(時代が少し違うかもしれないが筆者にとっては大して変わりはしない)わけのわからない運動を起こして日本中を震撼させたのだから、そのような人達がいつなんどき発狂してわけのわからない運動を起こすか気が気ではない。現に今でもその萌芽は散見され、ロハスだの綾小路きみまろブームだの50代からの田舎暮らしだのわけのわからない事件が方々で頻発しているのだから、くれぐれも用心するに越したことはないわけなのであるわけだが、彼は筆者が先ほどからいろいろと書いていることなどアウトオブザ眼中とかいった感じでとりあえず先に気になっていた永作博美の近況などをgoogle検索などすることにした。
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