200文字小説コンテスト
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桜の見る夢
みお
投稿時刻 : 2014.03.22 23:35
字数 : 200
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桜の見る夢
みお


「百年生きた桜は人に害を成す」
 枯野にただ一本立つ桜木は、ある日切断され幹は武器となた。やがて戦が終わるとその身は家となり、さてどれだけ時が流れたか。崩れた建材で男が椅子を組み立てる。使い古された椅子は公園の片隅にうち棄てられた。ただ朽ちるを待つ椅子の上に、薄桃づいた桜の花が散る。椅子は思い出した、彼女はこの風景を知ている。
「ああ、我が子よ」
 叫ぶなり椅子は壊れた。ただ後は花葬に任せるままである。
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