【BNSK】月末品評会 inてきすとぽい season 2
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ふほへほげげのげ/絶望、そして文学が生まれた時
投稿時刻 : 2014.04.29 23:56 最終更新 : 2014.04.30 03:02
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- 2014/04/30 03:02:30
- 2014/04/29 23:56:52
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(現代語訳)
 鉄棒でもなく、渇望でもなく、ましてやうまい棒でもなかた。
 人類の黎明期、とある原人の群れが諍いを起こしていた。
「ちと待てや、こら。お前ら、人の餌場荒らすわ、メスにちかい出すわ、タチが悪すぎるんじ。この大地溝帯から出て行けや。いい加減、これ以上辛抱できんぞ、おう」
「そんな。私ら森の奥の木の実を食べているだけですし、ましてやメスにちかい出すなど。ち、ちと一目ぼれしたと言いますか。あなたもオスなら分かるでしう。お互い平和にいこうじないですか」
「じかましいんじ、ボケ。言い訳かますんなら、ささと出ていけや。お前らみたいな身勝手な種族はお荷物なんじ。北へ行けや、北へ。ここはわしらの土地じ。まだ迷惑かけるつもりなら、覚悟せえよ」
 北の土地は荒涼とし、餌も少ない。飢えた獣が徘徊し、希望の一欠片もない場所だた。
「おうよ、お頭に逆らたら、ただじすまんぞ。俺ら、ぶんどたり寝取たりしたら承知しないから、略してBNSKじ。俺らを怒らせたら、アフリカやユーラシア程度ですむと思うなよ。ぐだぐだしとたら、アメリカ大陸の最南端まで追いかけ回したるわ」
 こうして一つの種族が大地溝帯から追放され、やがてアフリカ大陸からも遁走することとなた。
 しかし、お頭は彼らが憎くて追い出したのではない。この瞬間こそ、文学の誕生だ。絶望からの再起。彼らが立ち直ることを願うお頭の胸中には、葛藤という新たな感情が芽生えていた。
「しかし、お頭、あれですな。あいつら、上手く乗り越えてくれるんやろか。なんやもう、俺、こんな気持ちはじめてや。なんで他人の心配しとるんやろ」
「さあ、それこそ神のみぞ知るち。さて、わしらも狩りに出掛けるぞ。うちのカミさん、腹に子供がおるせいか、獲物少ないとめこわいねん」
 日差しが強くなたブに、影が二つ。その彼方に、象の群れが歩いていた。
 こんなちぽけな存在なのに、どうしてわしら子孫をつくとるんやろ。
 またしても考えたこともない疑問が頭をよぎる。
 それを振り払うかのように、地平線に向かて二つの影は走り出していた。
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