第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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魅了する壁画(魔法カード) 
投稿時刻 : 2014.08.17 14:51 最終更新 : 2014.08.17 14:58
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- 2014/08/17 14:58:26
- 2014/08/17 14:51:50
魅了する壁画(魔法カード) 
木下季花


 人々が忘れ去ってしまったかつての時代、ある天才画家が存在した。
 画家はこの世のものとは思えない、人々を惹きつける美しい絵を描いた。人々は彼の才能を称え、彼の描いた絵を欲しがった。彼はその絵を喜んで人々に渡していた。
 彼の絵に使われる赤色は、そのあまりの色合いの深みと鮮やかさで、特に人々の心を惹きつけた。多くの人が彼に、あの赤色をどのように作ったのかと問うが、画家は決して答えることはなかった。
 
 彼の赤色の秘密は、実は人々の血であった。
 人が寝静まった深夜に、血を集めるため、彼は通りがかった人を殺していた。
 しかし彼の殺人はいずれ露見してしまう。
 彼は独房に閉じ込められることになった。多くの人から罵倒され、狂人だとみなされ、彼が描いた絵は全て燃やされた。

 彼はしかし、独房の中でも絵を描きたいと思っていた。彼は両親に絵具と紙を差し入れてもらい、再び独房内で絵を描き始める。しかし、どうしてもあの赤だけが足りなかった。
「赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、赤色、あかっあかっ、あかいろあかいろあかあか……あがあぁあああああ!あがぁあああああああ!あがいろ!あがいろぉおおおおおおお!」
 彼の呟きは次第に大きくなり、まるで呪いのようにして辺りに響いていく。
看守は彼を隔離した。食事だけを与えて放置することにした。

 そうして彼は絵を描く事すらも許されなくなった。彼は次第に生きることすらも嫌になっていた。絵を描けない人生など、もはや何の意味もなかった。彼は死んでしまおうと思い、食事の際に出てきた皿を割って、その破片で手首や喉を傷つけた。
 しかし、そこから流れ出てきたのは、彼が求め続けていた赤色だった。
 なんだ、ここにあったじゃないか!
 彼は狂喜し、その血をコップに集め始めた。
 そうして、隔離された独房の中で、自らの赤色を使い、彼は絵を描き始める。
 
 数日後に看守が訪れた際に、独房の中には、干からびた彼の死体と、転々と床に染みついた血と、そして見るも美しい、心を奪われそうな壁画が残されていた。
 以後、その壁画を見た物は殺人者となり、その絵の赤色を求めるようになる。
 その絵の赤色はまさに魔物だった。呪いだった。見るものを惹きつけ、同じようにその赤色を求める化け物にしてしまった。
 それは彼が最後の力を振り絞ってこの世に残した、呪い(歓喜)に他ならない。
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