言霊の氷縛(魔法カード)
酔いどれペンギン剣士は、仲間とともに魔王の城にたどり着いた。
広間に入
った途端、向けられる殺気。
酔いどれペンギン剣士はゴルフクラブを抜き放ち、飛んできた何本もの投剣をキンッ、キンッ、キンッ、とゴルフクラブで弾いた。
「誰だ!」
と仲間が叫んだ時、すでに酔いどれペンギン剣士は走り出していた。
物陰から現れた敵をさっと見回し、
(――――!)
酔いどれペンギン剣士は息を呑む。
敵の中に、知った顔があった。
迷わずその男の元に駆け寄ると、渾身の力をこめてゴルフクラブを振り下ろす。
ガッ
鋭く重い一撃は、敵の男の剣によって弾かれた。
酔いどれペンギン剣士は崩れた体制を整えつつ、慎重に男との間合いをはかる。
(……間違いない。アイツか)
目の前にいるのは、かつて同じ師の元で剣の腕を磨いた男だった。酔いどれペンギン剣士と肩を並べながらも、師と意見が合わず、国を去った男だ。
彼は、強い。
戦いが長引けば、不利になるのはペンギンの姿をした自分だ。こちらがペンギンだと油断しているうちに方を付けるしかない。
ゴルフクラブを構えつつ、腰にくくり付けた出刃包丁にそっと手を伸ばした時だった。
「……貴様、◯◯○か」
人間であった頃の酔いどれペンギン剣士の名前を、男が口にした。
「今の太刀筋、その構え……覚えているぞ。貴様、○○○だな」
「バレたか」
酔いどれペンギン剣士は、出刃包丁を右手で引き抜くと、左手でゴルフクラブを構える。
「そのペンギンと知り合いか?」
側にいた魔王軍の青年が、かつての同胞に声をかける。
「ああ。昔、同じ師の元で剣を学んだ仲だ。この国で名の通った剣士だったが、妻がいる身でありながら他の女に手を出し、地位を奪われ国を追われた愚かな男だ。魔女の呪いにかかったと聞いていたが、まさかこんな姿になっていようとはな」
「ほう」
魔王軍の青年は酔いどれペンギン剣士を見つめると、ニヤリと笑った。
「そんなふてぇ(太い)体で不貞をするなんざ、不逞野郎だな」
太いと不貞と不逞をかけた(本人にとっては)渾身のダジャレに、その場にいた全員が凍り付いた。
ただ一人を除いては……。
【効果】
その場にあるすべてのカードを凍り付かせ、1ターンだけ行動不能にできる。
ただし、氷属性の攻撃に耐性があるキャラクター(ペンギンさんとかペンギンさんとかペンギンさんとか)はこの効果を受けない。
【注意】
このカードを使用する際、プレイヤーは何かダジャレを言わなければならない。