更新履歴
- 2014/12/13 23:32:37
- 2014/12/13 23:24:16
- 2014/12/13 23:21:57

　あら、時間に正確なあなたなのに、遅かったのね。――いいのよ、そんなに謝らなくても。気にしないで。大丈夫、あなたが遅刻するってこと、私、ほんとはわかってたから。電車が止まってて迂回してきたんでしょ？　線路沿いにあるアパートで火事か何か起きたみたい？　なるほどね。
　注文は？　カフェモカ？　あいかわらず甘いものが好きなのね。いいんじゃないかしら。糖分は脳には必要よ。私はアメリカンだけどね。砂糖とミルクはいらないわ。――あ、こっちのカップ？　これはカフェオレ。ちょっとした事情で、二杯注文しちゃってね。もうお腹たぷたぷなの。
　なんで遅刻してくるのがわかったかって？　そうね……実は私、予知夢を見ることがあるの。結構な率で当たるのよ。本当よ？　ま、信じる信じないはあなたの自由だからかまわないわ。

　じゃあ、最近見た夢の話でもしましょうか？　あなたが出てくる夢なのよ。
　キャンドルアーティストのあなたは、才能を認められて個展を開くことになったの。――そう、ここまでですでに正夢ね。個展を開く手助けをしてくれたのは私じゃないかって？　そりゃそうよ。だって私、あなたのこと知って、すごく素敵だなって思ったんだもの。あぁ、夢の話だったわね。とにかく、続きを聞いてよ。
　あなた、前から嫌がらせに遭ってたでしょ？　世の中にはそういう奴っているのよね。匿名だから何してもいいと思ってるんでしょう。もっと大物を叩けって？　私もそう思うけど、大物は叩いても面白くないんでしょうね。
　それでね、そういう奴らが、花束に爆弾を仕込んで送ってくるの。個展の初日に、よ。

　それってかなりピンチなんじゃないかって？　それはそうよ。
　でも安心して。だから私、もう一つ予知夢を見たの。――そんなに都合良く夢が見られるのかって？　あなたと私の仲じゃない、ここで一肌脱がなくてどうするの。
　で、どんな夢かっていうとね。その爆弾を仕込んでいる奴が、うっかりその爆弾で吹き飛んじゃうっていう夢なの。
　あら、何笑ってるのよ。気分爽快？　そうね、私もそう思うわ。そんな奴は吹っ飛んでドカンがお似合いよね。
　じゃああなたに、一つ良いこと教えてあげようかしら。
　あなたの電車が遅れた原因。アパートの火事。あれがその爆弾の誤爆なの。信じる信じないはあなたの自由だけどね。

　あ、ほら、あなたのカフェモカ、来たみたいよ。スマホなんていじってないで。え、ニュースを見てる？　本当に爆弾だったらニュースになるんじゃないかって？
　さぁ、どうかしらね。
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この作品は、『第24回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉』投稿の
『カフェオレ　side B』の表サイドです。
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