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非常に死の匂いが漂う物語でした。作中で実際に亡くなったのは鳴海さんだけでしたが、私には主人公や兄など、すべての子どもたちが死んだのだと思われました。宮崎駿がどこかで「子どもが将来何になるってつまらない大人になるに決まってるんだよ」というようなことを言っていましたが、大人になるというのは子どもとして(魂のようなものが)一度死ぬことなのだと、読んでいて考えました(ちょっと想像しすぎですが)。
鳴海という輝くような可能性を秘めた少女が、なにかくすんだ大人になった悲哀のようなものを最初感じたのですが、あるいは彼女は外見は大人でも魂が子どものままだったから死ぬしかなかったのではないか、主人公が彼女を救えなかったのは、彼が既に大人になってしまったからでは……と感じました。