第46回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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予告・・・前もって知らせること。前触れ。(『三省堂 大辞林』より)
投稿時刻 : 2018.08.19 04:30 最終更新 : 2018.08.19 13:03
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- 2018/08/19 13:03:39
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予告
淡月悠生@創作


こんなCMをテレビでやていた。



……ああ、気付いてくださたのですね。
それなら良かた。
どうしても、伝えたいことがあるんです」

全米が震撼したサスペンスホラー
疑心はいずれ破滅を呼ぶ。

「あなたは、今見たものを信じますか?
今までの人生を信じますか?」

何気ない日常に隠された罠。
脅かされる平穏。忍び寄る悪夢の影。
隣家の扉は固く閉ざされ、街には祈りが降り注ぐ。

「私を、信じてくれますか?」

止まらない血の洗礼。
狂気は伝染する。
逃れられない因業の渦に、聖なる乙女は涙する。

「危険が待ち受けています」

巨匠も絶賛。誰も予測できないストーリー
あなたはこの惨劇に耐えられるか?

「私の声、聞こえていますか?
私はあなたを救いたいのです。
滅びの運命から救い出したいのです」

──「いつかあなたを救うまで。」
近日、劇場にて公開。

「どうか答えてください。
あなたはそこに行てはいけません。絶対にです。彼の言葉を信じてはいけません。彼は絶対にいつか裏切ります。
私を信じて。
あなたを救うまで、私は諦めません、絶対に」

誰を信じますか?何を信じますか?
真相は映画館にて。

……このことは、誰にも言わないで。
お願いします。
絶対に、あなたを救てみせます」



映像の最中、本編とは関係のない音声が流れる現象が報告されています。
不審な音声を聞かれた方は、テレビ局までご一報ください。
……と、そんなテロプが流れて、CMは終わた。

「そんなことあるんだ。ミスかな」

隣で、弟が呟く。
映像の合間に聞こえていた声を思い出す。
美しく、透き通るようでいて、脳髄に染み渡る……そんな声。

「新作映画か……兄ちん、興味ある?」

唾を飲んだ。
いつも、気になる新作映画は兄弟で見に行くと決めている。

「いや……俺は、別に……

弟は怪訝そうに眉をひそめ、「……そう」と言た。

「いつか裏切る」という言葉が、頭の中で反響して、離れない。
俺達は何の変哲もない兄弟だ。今まで程々に仲良くやてきたし、問題もなかた。……そのはずだ。
胸の中で、ぼんやりと何かが燻ていくのを感じた。



***



「いや……俺は、別に……

兄は、妙に気まずそうにそう言た。
甘くて優しい、包み込むような声……。CMのセリフが、思い浮かぶ。

でも、
「私だけがあなたの味方です。いいですか?隣人はあなたを欺こうとしています。絶対に目を離さないで」
……なんて、……バカバカしい……よな……



***



誰を信じますか?
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