第48回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・紅〉
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洞窟【紅】
投稿時刻 : 2018.12.15 23:56 最終更新 : 2018.12.15 23:59
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目次
1. intro.
2. 01
3. 02
4. 03
5. 04
6. 05
7. 06
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更新履歴
- 2018/12/15 23:59:16
- 2018/12/15 23:56:58
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この命、尽きようと【紅】
小伏史央


intro.
 高くそびえる岩山に、大きく口を開けた穴が、ふたつ並んでいる。かつて魔王がいた時代、魔物に掘らせて作たという洞窟だ。
 あなたはある理由でこの洞窟に挑まなくてはならない。中には多くの危険が潜んでいることだろう。
 挑戦者はあなたひとりではなく、もうひとり、同じ理由でここに佇んでいる男性がいる。しかし掟によりひとつの入口に入れるのはひとりまでだ。それぞれ別の穴に入て、洞窟内を進んでいかなくてはならない。
 男性と話し合たすえ、あなたは左の入口に、男性は右の入口に入ることが決また。
 互いの健闘を祈りながら、ふたりは各々穴の前に立つ。
 冒険のはじまりだ。

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01
 洞窟内に足を踏み込む。視界の向こうは暗く、暗闇がまるで手招きしているかのようにうごめいて見える。あなたは発光魔法を指先に照らした。指を前へかざしながら進んでいく。
 小さいころは、この穴には決して入ていけないと言い聞かされていたものだた。どうしてなのかと問いただしても、親が詳細を教えてくれることはついぞなかた。
 ごつごつとした岩の通路が続いている。左右の壁を注視し、前方の足元を確認し、慎重に歩んでいく。魔物が作た通路だ、どんな罠があるかわからない。
 しかし案外に静かなもので、音を吸い込んだような暗闇が、光に押されながらうごめいているばかり。危険な様子は感じられない。一歩一歩と進んでいくうちに警戒心も緩んでいて、その瞬間、足元が何かを踏んだ。
 ぐに、という柔らかい感触。岩とは大違いの、感触。
*あなたは……
 おそるおそる足元を確認する→02へ
 確認せず前へと走る→03へ
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02
 あなたはおそるおそる足元を確認した。
 ゆくりと、指先を足元に近づける。腰のあたりまで指を下げて、ようやく、何を踏んだのか把握できた。
 魔物の死体だ。どの動物とも似ても似つかない、小型の四足動物。腹にざくりと大きな傷が走ている。まだ新しい。
 ふ、とひとつ息をつくとともに、あなたは再度警戒を強めた。この魔物を殺めた別の魔物が、きとまだ近くに潜んでいるのだろう。
 あなたは、より慎重に、進んでいく。
 するとすぐに、少し前方に生き物の息遣いがあることに気づいた。ぎろりとふたつの目を向けた、爪の長い魔物だ。その魔物はあなたの光に当てられて、おびえた様子でこちらを窺ている。
 もし確認せずにあそこに突込んでいたら、先ほどの死体のように、腹を掻切られていたかもしれない。そう思うと背筋が震えた。
 しかしあなたに戦闘能力はない。そして掟により一度入た入口から逃げることも不可能だ。
*あなたは……
 魔物と戦闘する→04へ
 魔物をメロメロにする→05へ
 
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03
 あなたは足元は確認せずそのまま走た。きと何か危険なものを踏んだのだ。すぐにでもその場を離れるべきだと考えた。
 ところがすぐに胸が熱くなた。ごぼ、と喉の奥から何かが溢れてくる。胸に手を当てると、黒く血塗られているのがわかた。訳もわからないまま血がどろどろと流れている。
 キキキキキと暗闇を引き裂く声が、目と鼻の先から聞こえる。ぎろりとふたつの目を向けた、爪の長い魔物がそこにはいた。
 ああ、こんなものがいるところに、あなたは突込んでいてしまたのか。
 遠のいていく意識のなかで、あなたは自らの浅はかさを恨んだ。

 GAME OVER
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04

 GAME OVER
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05
 あなたは魔物をメロメロにすることにした。
 手始めに髪をかきあげセクシーポーズを取る。
「オオ……
 魔物はメロメロになた。
「ありがとう。スケベ爺の心を取り戻せたわい」
「え
 そして唐突に語り始めた。
「ワシは元は人間じ。お嬢ちんのように、村の掟を破てしまい、ここの試練を受けされられたのじ。そしてワシは死んだ。ワシの心は成仏することもできず、この洞窟で、魔物として生まれ変わたらしいわい」
 饒舌な魔物だた。あなたは呆気にとられるも、とりあえずその魔物を同行させることにした。この洞窟について何か情報が得られるだろうと踏んだのだ。
 事実、それはこの中について非常に詳しかた。そして久々に人間と会話をするのが楽しいらしく、黙ていても勝手にべらべらと情報を垂れ流してくれる。
 いわく、洞窟は曲線の一本道で、ふたつの入口は洞窟の奥でつながているらしい。

 *→06へ
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06
 進んでいくと、別の入口から入た戦士と邂逅した。
「あ、お兄様!」
 彼はあなたの兄だ。そしてあなたの夫となる人でもある。
「おお、妹よ。無事だたか!」
 兄は顔を綻ばせた。あなたは兄に抱き着き、その鎖骨のにおいをかぐ。
 またこれをかげるなんて、ああ、生きていて良かた!
「なんと、おぬしら兄妹なのか……それは残念なことじ
 魔物が悲しそうに言う。
「なんだそれは」
「ここから出られるのは一人だけなのじ。そういう結界が敷かれておる」
 つまり、お兄様と殺し合いをしろと?
 あなたは首を振る。
「そんなことをするくらいなら、ここで暮らしたほうがましです!」
「ああ、その通りだ。そうしよう」
 こうして、ふたりと魔物は洞窟の中で暮らすようになり、そこで子をなし、一族をなし、そのうち結界も破り村を滅ぼし、幸せに暮らしたそうな。
 めでたしめでたし。

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