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進んでいくと、人の話し声が聞こえた。若い女性と、老人男性の声。女性のは聞き馴染みがある声だった。
「あ、お兄様!」
もう片方の穴から入った、あなたの大切なひと。妹だ。
「おお、妹よ。無事だったか!」
顔を綻ばせる。妹はあなたにしがみついた。その頭をなでる。
「なんと、おぬしら兄妹なのか……それは残念なことじゃ」
魔物が悲しそうに言う。
「なんだそれは」
「ここから出られるのは一人だけなのじゃ。そういう結界が敷かれておる」
つまり、妹と殺し合いをしろと?
そんなこと、できるはずがない。
あなたが何かを言うより早く、妹が首を振った。
「そんなことをするくらいなら、ここで暮らしたほうがましです!」
「ああ、その通りだ。そうしよう」
こうして、ふたりと魔物は洞窟の中で暮らすようになり、そこで子をなし、一族をなし、そのうち結界も破り村を滅ぼし、幸せに暮らしたそうな。
めでたしめでたし。
GAME CLEAR!
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