第48回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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人生は大博打
投稿時刻 : 2018.12.15 23:47 最終更新 : 2018.12.16 00:01
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- 2018/12/16 00:01:13
- 2018/12/15 23:49:16
- 2018/12/15 23:47:00
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空からしんしんと雪の降る朝、酒場を閉めた店主の男は、早足である女の元へと向かう。

「あら……? あなた、主人の……。どうなさたの?」
「これ……いつの間にやらカウンターに置いてあたんでさ」

メモ用の紙を差し出す。……そこには、赤黒い文字でこう記されていた。

『ツケの金は幽霊にすかり取られちまた。……だけど、俺いい時間を過ごせたぜ。……生きてる間も、死んでからもだ。元気で暮らせよ。嫁さんと息子も任せたぜ!』

かつてと何も変わらない乱雑な筆跡に、女の泣き腫らした目元にも笑みが宿る。

……まあ、あの人……ツケを貯めていらしたの?」
「ツケて、大した額じでさ。いつもまとまた金が入たら気前よく払てくれるんで、いい客でもあたんですから…………息子さんは寝てるんですかい?」
「ええ……泣き疲れてしまたみたいで。……でも、突然の事故なのに満足して死ぬなんて、ほんとうに能天気な人だこと」

ちらりと女が向けた視線の先には、永久の眠りについた男の亡骸が棺桶に横たわている。
どこか安らかで、満足げにも思える死に顔は、笑ているようにも見えた。

……オ、ジルジ

男の名と挨拶を告げ、少年はひらひら手を振て立ち去ていく。
次の遊び相手も気のいい奴で頼むぜ……と、少年は願掛けのようにコインを空高く放り投げた。
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