第65回 てきすとぽい杯
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無能の危機
投稿時刻 : 2021.10.16 23:44
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無能の危機
押利鰤鰤@二回目


 後悔先に立たずと言う言葉がある。
 振り返てみれば私の人生において、人生の岐路と言える選択肢が出てきた時に、例えばそれが2択だたとして、考えて見れば失敗と呼べる方ばかりを選択してきた気がする。
 高校卒業するときに進学しなかたこともそうであるし、いやいやながらも就職した会社を選んだことがそうだた。
 その時の会社が数年後に倒産し、その時に紹介された会社も十数年後には倒産した。
 あまりにもブラクすぎて何度も転職を考えたが、結局の所はせかく覚えた仕事を捨て去て、一から新しい仕事を覚えなすのがめんどくさく、それに新たな人間関係を構築し直さなければならないのが嫌で、文句を言いながらも、最後の日まで勤め上げ、若さと時間をドブに捨て去てしまた。
 給料も社内の地位も全くもて上がる事は無かたが、ぬるま湯の心地よさについすかり、落ち着いてしまたのである。
 しかし、倒産してしまえばぬるま湯にも浸かている事はできない。
 過ぎ去た日々と自身の人生の岐路で選択した事や、それで無駄にした時間を後悔し他ところでもはやどうにも成らない。
 私は五十を目前に新たなる人生を強制的に始める事になたのである。

 幸いにして、新たなる仕事をすぐに見つけることができた。
 収入は当然のように下がたが、それでも私の年齢で再就職の新人となれば相場と言えるだろう。
 勤めてみてわかたが、超絶ホワイトだた。
 残業代は出るし、そもそもシフト勤務なので残業が殆どない。
 休みはきちんとあり、有給も消化するように上司から言われる。
 会議は会議の為の会議ではなく、問題を解決する為に行われ、実際に解決しその解決策を意見することを求められる。
 以前の会社のように「文句を言わないでやれ」と言われるだけの会議ではないのだた。
 従業員の評価も適正に行われ、会社は職員を教育し、さらに責任のある地位にしていこうとする。
 それは自分が今までに経験したことのない事だた。

 だからこそ、従業員には向上心と業務を完全にこなす技量が求められる。
 長年ブラク企業で押さえつけられ、無能と罵倒されながらも、こちらも睡眠時間と残業代が無い中で、それだけやているのだから知たことかとその状況に甘んじていた自分には全くもて育たなかた部分である。
 仕事が大量にあり、それを業務時間内でこなせなければ、サービス残業でやればいいと思ていたが、そこは超絶ホワイト企業である。
 職員の向上心と、技量の上達を持て適切な業務時間で働くことを要求される。
 作業効率が悪ければ、それを改善する指導が入り、それができなければ再度の指導と向上心の無さを指摘される。
 馬鹿だ、無能だと罵られる事の方が今となては気分が楽だた。
 言葉は優しいが、自分の無能さ、向上心のなさを思い知らされる上司との面談を明日に控えてそう思う。
 冬のボーナスに直結する個人評価の一環でもあるのだが、自分で自分の評価をしなければならない場所である。
 「だからボーナスはこれくらいで良いよね?」
 と言うわけなのだが、自分の社会的剛性のなさを改めて自己評価し、それを思い知らされる場所である。
 つくづく自分はブラク企業の方が合ているのでは無いかと思い知らされる。
 無能な人間は自分から去ていくようにする為の手段としては最高だと思う。
 今まさに危機的な状況である。
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