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本質を書こうとする小説は多いけれど実存を書く小説は珍しいなと思いながら読みました。
自分を食べたら小さくなるのではという疑問はさておき、閉じられた空間に名前がある面白さを考えさせられる優れた小説だと思いました。
不動産登記法上での建物の定義のひとつに、屋根や壁で外気を分断していることというのがあります。極端な言い方をすれば構造物で周囲を閉じて穴が存在するものが家屋で、穴がない家は家屋ではないと言えます。ものがものであるには穴が必要不可欠なのかと、そんなどうでもいいことを考えてしまうくらい、この小説には心地良い読後感がありました。読んで良かったです。