これは良い擬人化作品。童話に登場する動物のように、人間の姿をそのまま書き表しながら、「樹液」のある樹という舞台設定で虫であることを存分に活用している。スズがマドンナだったりで、『坊っちゃん』の人物の延長上にあるものを感じました。<精神的に向上心のないものは馬鹿だ>と夏目漱石の引用を作中でしておくことで、企画作品ということを考慮に入れずとも夏目作品との関連性を感じやすくしているのが好印象です。
まったくどうでもいいんですけど、主人公がスズを見て鼻から空気を吐き出す描写が、個人的にツボでした。人間になぞらえて顔のあたりで息を出す様子も、クワガタということで両側面のいくつもある穴から一気にぷしゅーと空気が出る様子も想像できてしまってw
執筆おつかれさまでした。