一発逆転! 上半期ベストを狙え! 愛のいじり小説大賞
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サウス・アイランド
大沢愛
投稿時刻 : 2014.06.01 22:09 最終更新 : 2014.06.01 23:00
字数 : 7280
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  南の島でした。
  夜の海は穏やかで、無数のプランクトンたちが数えきれない生命を燃やしていました。
  波間に、エチゼンクラゲが漂ていました。

  無数に生まれたきうだいたちはみな、アジやカワハギに食べられてしまいました。ふうわりふうわりと漂ているうちに、いつの間にかひとりぼちになていました。海にいる他の魚たちは、漁師たちが争て捕まえようとします。でも、エチゼンクラゲを捕まえようとする者はいません。エチゼンクラゲには毒がある上、人間たちにとてはおいしくないのです。そして、大きさは二メートル近く、重さは百キログラムを超えていました。うかり網にかかると破れてしまうので、かかりそうになると漁師たちは棒で突き離そうとします。エチゼンクラゲの身体にはあちこちに傷ができました。それでも、ここまで大きくなれば他の魚たちにも襲われません。月夜の海にぽかりと浮いて、プランクトンを呑みこんではちいさなアブクを吐き出します。静かな夜でした。エチゼンクラゲの丸い身体は真上から見ると満月そくりでしたが、それを知ているのは今のところ、夜空に浮かぶ満月だけでした。
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