予知能力の正体は、並行世界からの死者の召喚。おばあ様から口伝された第一奥義は衝撃的だった。時間軸の違う並行世界の未来は、この世界の過去と“距離”がそう変...

「佐和子、なにしてるの起きなさい！」
　ふいに布団をはぎ取られ、朝の冷気が襲ってきた。 ...

「斉木、お前まだ刑事部でまごついてるんだって？」
　同期の笠原が言った。久しぶりに同じフロアですれちがった後、缶コーヒーを傾...

　隆太が唐突に切り出したのは、SNSの各所でさえ実しやかに飛び交っている例の噂話のことらしかった。 ...

　その墓前には、彼のことを記録したカードが捧げられている。二度と揃えられてはいけない、二葉のカード。一つは、只の人としての。もう一つは……。 ...

「戦わずして勝つ」
　すべての戦略に勝るのはこれであろう。そしてこれを一時、体現する若者がかつ...

１．転生倶楽部　～「人工記憶」の章～
　俺は誰からも愛されていない。 ...

『ミキへ
　楽しかったよ。そして今日もキレイだった ...

「……ん、雨？」
　目覚めると、なぜかいつもの海浜公園に寝そべっていた。真夏の青空が目に沁み...

みらいが降ってくる。
きらきらと。綿菓子みたい。 ...

　遠く、太陽系を漸く離脱しようかという座標地点に差し掛かったとき、妻のモーニングコールで目が覚めた。 ...

「君、今死んだから」
　突然そう言われた。友人と待ち合わせた時計台の前で、電話がかかってきたと思...

　muted boy. 無理やり物言わぬ存在に変えられた、この社会にいないはずの少年とのアカウント交換。いわばセキュリティ・ホールを衝いたやり口で、俺はついにこの...

　タクシーに見えなくもない車に一人乗るよう仲介人に促されて向かったのは、とある街の旅館だった。現金なら偽名臭くても問題なく泊まれるからという事情らしいが...

　むかしむかしある惑星に、とても科学技術の進歩した文明がありました。
　ある朝、一人の貧しい漁師が出航中に水葬となり、生きて帰らないと分かったこ...

「では、こちらのアカウントを抹消いたします。よろしいですね？」
「ああ、いいから早くやってくれ」 ...

　サイドテーブルに、ぽつんと残された私の携帯電話。
　ガラケーの、今はもう使ってなかったヤツ。 ...