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大人数で話の根幹から作品作りをしようとすると、こんな風に中々まとまらずに話が右往左往してしまいますよね。そういうぐだぐだしながらも徐々に進んでいく会話の流れを、丹念に再現されていて、気づけば引き込まれている作品でした。
こういう、何人登場しているのかも分からない、会話だけがだらーっと進んでいく作品が好みでして、この作品もそのツボをうまく押さえていて良かったです。カワイイ系男子部員や女生徒ユウキのように、会話の流れで特に説明もなく人物像が出てくるのも面白いですね。
ただ細かい点ですが、カワイイ系男子の口調が最初に出たときは敬語で、後の発言では普通の友達口調になっていたところが気になりました。おそらく敬語の発言のほうは部長ともうひとりの先輩生徒に向けて話したから敬語になったのでしょうが、部長以外の台詞は判別がつきにくいため、後の「で、主人公の男の娘と恋に落ちる」が先輩の発言なのかどうかわからず、それなのにカワイイ系男子のほうは口調が変わっているため少しひっかかりを覚えました。意図してキャラをブレさせた演出と捉えることも可能ですが、そうでないなら口調を合わせるか、口調を変えても違和感の出にくい補正が欲しかったなと思います。
ラストになって本文が一転、台本の形式に様変わりし、全文が作中作であったと気付かせる手も堅実ながら良いですね。本文中で繰り返された「と部長」などの表現がラストの台本形式との違いを明確にしていて、うまく機能していると思いました。
パロディネタも豊富で、数々の作品名の出し方も単純に笑わせるためのパロディというよりは会話の中で自然に出てくるような使い方が主になっていて、作品の雰囲気に忠実であろうという印象があって良かったです。その中で「ウルトラマン方式ね」などのようにふいに笑わせてくる点もあり。またパロディではありませんが「授業中にスカしっぺした犯人を見つけるために殺し合いすんの?」というツッコミが個人的に好みです。
誤字等報告。
「素早居検索くん」→素早い? あるいは苗字をもじった表現でしたらすみません。
「『RDGの和宮』」→『RDG』の和宮
「女の子がいいんじゃない?。」→"。"が入り込んでいます。
「とカワイイ系男子部員」→"。"がありません。
「自殺したこのことを」→自殺した子のことを
「じゃあこいうのは?」→じゃあこういうのは?
「どこまでグロもってこれるかだな」→グロく?
「指差すのを」「指を指し」→「差す」「指す」の近い距離での表記揺れ
「しちおうよ」→しちゃおうよ
「ノートを差し出す『へ? なにこれ』
『テスト範囲のノートです。私もう暗記したから』」
→「差し出す」の後に"。"がありません。
また『へ? なにこれ』の後の改行が意図したものに見えなかったので一応報告しておきます。
「ショパン」→半角になっています。急に半角カタカナで別れの曲が流れたのが、異次元(作中作)からの転換を思わせて面白い表現だなとも思ったのですが、意図したものかわからないので一応報告。