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現世と死後の世界だけではなく、間に魂の世界を設定していたのが興味深かったです。蘇生も生まれ変わりも魂の世界があればコントロールできるので、物語の幅が広がる良い設定だと思いました。
気になる点を上げますと、父との再会シーンで主人公の怒りが伝わってこなかったので「俺の怒りも、全て。」の記述が唐突に感じました。ある決意や間違っているだけでは怒りが弱い気がしますので、もっと感情的な台詞や行動が欲しかったです。感情が先にあれば行動に説得力が生まれますので。
もう1点は「あの世界で世界を支配する親父に、教える。」のモノローグです。主人公は「そもそも、親父はすべてを支配出来てはいない。」と結論づけていますので、読んでいて引っかかりました。支配しているつもりになっているとか、主人公の立場での記述が欲しかったです。
ディティールはともかく、世界観の設定も主人公の心の変化もよく描けていたと思います。読んでいて楽しめました。
余談ですが、田代太田古墳の壁画が世界を三角形の集合体として描いていて、古代人はポリゴンを理解する感性があると感じました。