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1 犬の愛
2匹の犬の視点から親子の関係を描く、という手法は良いですね。
惜しい点があるとすれば、2本目のエピソードで追加される情報がほぼ過去話に終始していたので、
親子間の愛情が歪であるエピソードが1本目なら、2本目ではそれが解決された、とか、あるいは解決されなかった、とか、
1本目からの物語の進展があるとなお良いかと思いました。
2 双頭の獅子
“ヴェルスルムント帝国、サビルゲイデン公領、ヒビデガルガ地区。”
という書き出しで構えてしまいます。うわぁ、こういう路線か、と。
内容は、忠誠心というテーマを直球で扱った感じですが、いかにもステレオタイプという感じがしてしまいました。
妹が怒って終わり、というのも何となく唐突な印象です。
作者さんがファンタジックな世界観に不必要に浸ってしまいすぎたのかなあ、とか思いました。これの舞台が現代日本だったらどうなのだろう、とか想像は膨らむのですが。
3 阿武隈川と烏頭の毒
ミステリーとしては中途半端に思えます。この長さでちゃんとした殺人事件を扱うのに無理がある、というほうが大きいかとは思いますが。
じゃあコメディか?というと、コメディ要素はキャラの名前だけで、むしろ敢えて素っ頓狂な名前を付けた意味が分かりません。
結局、何がやりたかったんだ?という印象だけしか残らない、という感じがしました。
4 契約とはじまりと彼とわたしと
「世にも奇妙な物語」的な手法というのでょうか。普通じゃない設定をぽん、と投げて、それはそれとして話が進んでいく、というような。
結婚の形が明らかな女性優位として描いているのも、なんか最近の世相を反映しているような。逆だと発狂する人、いるのかもなあ。
そういうなかでも普遍的に存在する「愛情」とか「思いやり」とか、そういうものをシンプルに描けていて好感が持てました。
5 子供時代
「お姉さん」のパーソナリティがいまいち掴めない、という感じはしたのですが、まさか狙ってそうしているのでしょうか?
あくまで「僕」の変化が主眼で、お姉さんは回想の中のモニュメントでしかない、という。
それはそれで納得させられる構成ですか。
お題に沿っているかどうかは微妙な気もしてしまいますが、安定した筆力を感じます。
6 エレファント
設定が「後付け」に見えてしまう構成なんでしょう。
例えば主人公が動物園の飼育員になろうというところで「そういえば小さい頃象の遊具が好きだったなあ」というエピソードがはじめて出てくるので、
話を進めるためにそういう設定を今作りました、みたいな感じを受けてしまいます。
せっかく公園のシーンが冒頭にあるんだから、そのエピソードはそこに差し込めばいいのでは、と思ってしまいました。
最後の少年のくだりとかもそうで、唐突に後からでてくるので話が有機的に繋がっているように見えず、そのエピソード必要?となってしまいます。
7 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日
回りくどい文体をやりたかったのでしょうが、個人的には好きになれませんでした。
筋が通っていない話ではないとは思うんですね。忠誠心というテーマも消化できてますし。
ただ、だったら何故シンプルにそれを表現せずに、妙なキャラクタ付けと文体を選択したのか分からない、という印象です。
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【投票】:No.4 契約とはじまりと彼とわたしと
気になった作品:No.1 犬の愛
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1と4で迷うところなのですが、>>254の方もこの2作を並列で投票してたので、あえて差をつけてみます。
どちらかというと1の方が野心的な作品だとは思うんですけど、品評会だと綺麗にまとまった作品が良く見えてしまうんですよね。