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・一目惚れが絶望の要因そのものという、意表を突いたお題の消化方法にまいりました。
・恋から死へと「転調」して「畳みかける」音楽的感覚はすごく好き。作曲的感性での創作スタイルでしょうか。ただ、リアリティを犠牲にしてというか、現世・世俗からの離脱の表現として生まれるリズムなので、どうせならもっと言葉遊び的な要素を誇張してもよかったかも?(大作「言語崩壊」が好きだからの意見ですが)
・「だけど、生きることを止める勇気は、なかった。」と「だから、せめて、一緒に。」のつながりが不明で、リズムとは別にストーリーの部分で断絶が起きてしまっている気がします。なぜ心変わりを? これらの部分以前で既に絶望はしてしまっているので、絶望したから……ではないですよね。最後の娘だけが心中したくなるほど特別だ、という感じでもなかったような?
・憑りついた死神か背後霊の類が嫉妬して殺すのか、運命の人以外との接近を過剰に妨害するのか、……などなど設定をあれこれ想像できて楽しいですが、成長する「あいつ」って誰なのかは引っかかりました。死神? 恋愛感情そのもの? 擬人化表現されたのは……?
・実はこの能力は誰もが持っている設定(効くまでに必要な時間・人数・思いの強さが違うだけとか)で、美人薄命はそのせいだったとか、昔は心中が多かったのはそのせいもあるとか、逆に現代は人を本気で好きになる人間が減った、だからむしろ自分が殺されないことに絶望するとか、ほんと色々な膨らませ方がやろうと思えばできそうな感じで、とても気になる萌芽的作品でした。