[ コメントを表示 ]
全感です。
1.祖父の葬式
家族の死、というものをよく書けているように思いました。
繰り返される「祖父は大きな人だった」というフレーズも印象的です。
2.ぱずる
何というか、打ち切りエンドっぽい感じがしてしまいます。
先生を含む皆に嫌われていることに気づいて、そこでの感情の動きとか行動とか、そういったものが描写されていないので、
唐突に終わって、結局何だったんだ・・・という感想になってしまいました。
3.一夜の悩みと夢
#Aと#Bが繰り返される構成から、某叙述トリックもののA面とB面を思い出し、
叙述トリック好きとしてはちょっと期待したのですが、特に仕掛けがある作品ではない、という解釈でよろしいでしょうか。
男女の対比から、「秒速5センチメートル」を思い起こします。
全体として、言っていることはわかるんだけれど、もっと何かないの?っていう物足りなさがありました。
4.越中泥棒左衛門碧之介の私怨ゲージ
とりあえず、真面目に書けよ、と言いたくなります。
ナンセンスものとして見ても、全然面白くないのは致命的かな、と。
5.裏返しの感情
読み返してみると、「僕」や「妹」の齢がなんか変に思えます。そんなに離れてない印象なのですが、妹は父の失踪後に生まれた、とあるのは???
まあ細かいところなのですが。
全体として、母との関係性とか主人公の感情をきちんと書かれているのですが、何となくしっくりこない。
多分なのですが、後半、主人公の母に対する感情が変わるあたりで急に違和感のある文章表現が多くなる気がします。
そのせいで文章のレベルで引っかかってしまっているのかな、と。
もしかしたら、敢えてわざと主人公の精神の昂ぶりとリンクした文章表現にしているのかもしれませんが。
6.硫化アリルのせいにして
良い短編小説、という感じがします。
涙が流れない病という設定から、少年期の淡い恋みたいなものを綺麗に描けていて、
広がりには乏しいかもしれないけれどよく纏まっている、という感じがします。
7.さよならの味
うーん、短い。
文章は綺麗なのですが、いかんせんストーリーがないので、何とも。
8.ことりと落ちる
短いながらに綺麗に作られている作品ですね。
「泣」というテーマとしては何とも言えないかもしれないかもしれませんが、まあ他の作品もテーマの省かという点では微妙ですし。
9.ディレイド・ルーム
SFって難しいんだなあ、と他人事のように思ってしまったり。
悪くはないと思います。きちんとSFとして成立しているというか。
ただ、もう一歩踏み込んだ設定を見せてほしかったですね。「母」のくだりとかは唐突な気がしました。
10.泣け
これもちょっと評価できないなあ……。
何を意図して書いたのかをつかめない、という感じでしょうか。
11.見送り人
戦争(日本の太平洋戦争)をど真ん中ストレートで書いた小説、というのが感想。
ひねりが無い、とか言っても仕方ないタイプの作品でしょうか。しっかりした文章力があるので好感が持てます。
時代考証的にどうなのか等は、私が歴史に疎すぎて分からないので、誰かお願いします。
***********************【投票用紙】***********************
投票:8.ことりと落ちる
気になった作品:6.硫化アリルのせいにして
********************************************************
この2作品で迷いました。完成度としてはNo.6の方が高いとは思うのですが、直感で決めました。