【BNSK】月末品評会 in てきすとぽい season 3主催 : ほげおちゃん



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《 エントリー作品 》
たったひとつのぼくを求めて
あの日の真白なキャンバス
ヒトリ・ヒストリ
一本杉
もう、一人でいいから
THE ONE ◆Mulb7NIk.Q氏
ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR氏
Black Swan Song
(時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.氏
アイドル「兄は私のマネージャー」◆1ImvWBFMVg
(時間外作品)身の回りの世界で



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2014.06.01 08:30

投票期間 : 2014.06.01 0時  ~  2014.06.08 0時

No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html

No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html

No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html

No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html

No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html

No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html

No.08 Black Swan Song(木下季香)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html

No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg[
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391418769/704
※本スレの >>704 から

No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/7.html

皆さん投稿ありがとうございました。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。

投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。

・本スレッドで投票する場合

 以下のテンプレートに記載し、投票してください。

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 「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
 「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。

投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
No.9、No.10 について投票された場合は、すべて関心票(てきすとぽいでは評価4の投票)として扱わせていただきます。

たくさんの方の投票をお待ちしています。

なお、時間外作品の投稿はまだまだ受け付けています。

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2014.06.04 12:38

BNSK本スレッドに投稿された感想をこちらに転載します。

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2014.06.04 12:39

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html
 お酒を飲みながら思いつく文章を書いたような、そんな文章でした。
 リチャード・バックの「one」という本を読んだことがないので、この作品が深く読み込めなか
ったのだと思います。レビューをちらと読んだぐらいでは分かりませんでした。
読書最中の思考世界(?)での理屈も分からないので「そう書かれたならそうなのか」を繰り返
してだんだん無関心になっていくというか……こういった尖った作品は難しいですね。


No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html
 三十路間近の女性の情緒不安定さは凄く伝わってきました。何もするなといったり、電話取れ
といったり。得体の知れないものに固執して、そういった不安を紛らわせることはただの逃避な
んですよねー。なんか辛いお話でした。案外印象に残ったりするお話でもありました。
 物語の序盤でいくつか疑問が。なぜ公園に写真を撮りにいったのか。絶対に他人には知られた
くないデータとはなんなのか。公園に入ったのはなんとなく気分で、データは自分の悩みを題材
にした文章だったのでしょうか。想像できなくはないですが、できれば文章で言及して結末に絡
めると、もっとこの女性個人の変化が浮かび上がってきたのかなと思います。結局変化という変
化もしなかったんですけどね……辛い。


No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html
 作者さんの思ったとおりに読み込めているか分かりません。「ぼく」と「わたし」はやっぱり
別人なんでしょうか。歴史は繰り返すってやつなんですかね。そうすると、電子世界もダメに
なったら今度はどこへ逃げるんでしょう。最後の四行をどう捉えるかでがらりと変わりそうです。
私は五段落目のロボットが生き残ってご主人様を思い返しているのかなぁと思いました。
 もしかしたら、現実世界らしきものを仮想空間で体験できる最先端のシミュレーションゲーム
をプレイした人間の話なのかな。マトリックス的なものをほのかに感じました。
 とはいえ推測でしかありません。……上手く読み込めなくてすいません。すんなりと読み込め
て、最後の四行で驚くといったものに仕上がると良かったのかなと思います。


No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html
 洒落怖とか案外完成度の高い作品多いですよね。バトル要素があったり、幽霊萌えがあったり。
「霊だから」で説明つけちゃうので書くほうも気楽ですよね。展開の読めなさも読むほうとしては
ワクワクできる要素のひとつだと思います。
 オチはオマージュということでこれでいいとしても、物語のクライマックスはもう少し力を入
れて書いても良かったのでは。序盤の描写力がクライマックスにも欲しかったです。


No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html
 人物描写が上手でした。主人公の置かれている状況から思考まで過不足なく書かれ、力のある
方だなと思いました。なので、あとは書かれているものを読者がどう受け取るかだけなのかなと。
 まあガッカリしますよね、純粋な気持ちでないと知ったら。でも宗教と聞いてここまで拒否す
るのだったら、それに関する不快な過去等が一段落程度あると、結末のガッカリ感もさらに増し
たのかなと思います。なんかリナちゃん悪い人じゃ無さそうなんですよね……。やっぱり世間知
らずに付け入られて上手くいってるってだけの、ただの二十歳の子のような。断って豹変したら
納得できたのかな。そんなこんなでいろいろ考えれるいい作品だったと思います。

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html
 今回の品評会作品では飛びぬけて文章が上手でした。量はあれどスラスラ読める。語彙も豊富
で羨ましいです。多分何度も作者さんの作品を読ませてもらったことがあります。
 このタイトルは作中にて言及されるビートルズのアルバム名からでしょうか。音楽に明るくな
いので、どこまでそれがこの作品を膨らませるものなのか、下地になっているのか分かりません
でした。ごめんなさい。
 エレナの「強すぎて不完全」という部分を丁寧に説明した作品という印象を受けました。果た
して再会することができて、いったいどういった会話をするんでしょうか、気になります。それ
が主人公も含めた物語になるのかなと。


No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR 【関心】
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html

 投票用紙に記載。

No.08 Black Swan Song(木下季香) 【投票】
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html

 投票用紙に記載。


No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg
http://text-poi.net/post/ksatokiti/1.html
 楽しく読ませていただきました。エンターテイメント作品として、飽きさせないように話が展
開していったので、量が多くとも最後まで読めました。この板に建てられるスレに一番ふさわし
い作品ですよね。作者の思惑通りニュー可愛い、男コラッ! ルクルいうねぇ……ってなって話
にのめり込むことができました。
 話の筋が見えればあとはスラスラと読めたのですが、序盤は読みにくい。しょっぱなに少女、
少年、巨大な人間とがどういった配置なのか、関係性なのかが読み取りにくかったです。少年
少女はモニターの中にいるって理解するのに何回か読み返しました。描写する際の視点カメラの
問題ですかね。
 やっぱりこういった作品はハッピーエンドに限りますねー。


No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/7.html
 自作。時間外作品の扱いが分からなかったので、どうしたもんかと思ってましたが、てきすと
ぽいに転載してくださってありがとうございました。どうせ誤字るなら間に合わせたかったと心
残り。次回も参加できるといいな。


NO.11 (時間外作品)身の回りの世界で(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/8.html
 NO.2の人と同じ人でしょうか。もしそうなら、やっぱり印象に残るシーンが書ける方だと思い
ます。テンポ良くスラスラと読めました。
 大人になりきれない大人としっかりものの子供の物語は、お互いの満たされない部分を満たし
あって成長し合うという醍醐味があるので大好物です。読んでてダメ大人でもいいんだって安心
感も持てますし。こういったシチュエーションは、一時的な居心地の良い居場所として描かれが
ちなのがなんとも……。ニコちゃんは前に進める力を蓄えたのに対し、主人公はどうするのでし
ょうか。切なさに浸ったあとも、きっとやっぱり生き続けると思うので、作者さんなりのアンサー
を最後に書いて欲しかったなと思ったり。


 ***********************【投票用紙】***********************
 【投票】:No.08 Black Swan Song(木下季香)
         興味を持って読み物として読めたので投票。
        お題に真っ直ぐでしたし、姉の本心次第で結末が
        変わるので最後まで楽しく読めました。

 【関心】:No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
         翻訳者という説明で個性的な名詞の意図が分かっ
        たような。踏まえて読み返すと、それぞれの名詞が
        何を指し示しているのか想像する楽しみがありました。
 ********************************************************


 ――総評――
 今回は全体的に暗めのお話が多かったです。話のスタートから「孤独」や「諦め」「無念」等
ずっと落ち込んでいく展開が多かったです。あと、読むのに体力が必要な作品が多かったです。
とはいえ久しぶりの品評会なので、全作品楽しく読ませていただきました。
 お題の「one」が個人的には難しかったのかなと思います。どうにでも捉えられる分、お題を
中心に据えづらかったのかもしれません。その中でも、お題を意識させることができる作品を書
いた作者さんはやはり力があったのだと思います。
 品評会に参加した方々、てきすとぽいに転載してくださった方お疲れ様でした。時間外作品の
感想については、随時追加で行うつもりです。私の作品の感想もお待ちしています。

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2014.06.04 12:40

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
全体の感想はというと、わりとバリエーションは豊か。皆お題の「one」をどう扱うか骨を折ったんじゃないですか
ね。そのままストーリーに絡めにくく、抽象的なテーマにせざるを得ないですからね。あとこれは言っておきたいん
ですが、ほげおちゃん頑張りすぎぃ!!


本屋へ行き、一冊の本を手に取る。そして本の世界へ没入して行く、という感じでしょうか。
実際に「ONE」を読んでいたら、ちゃんと意図が掴めたのかもしれないんですが、私の読解力ではそれぞれの文やそ
の内容の意味を理解できませんでした。歯がゆい!という感じです。


主人公の不可解な行動や感情の変化の理由が描かれていたらいいなと思いました(自分が読み取れていないだけかも
しれないです)。序盤はきちんと説明文があるんですが、後半になるとだんだん段落が多くなって散文的?になって
いると思います。それによってある種の独特な趣が出ていると感じました。しかし一方で読者を置いてけぼりにする
ような、ともすれば「だから?」と説明を求めたくなる部分がちょっとあるような気もしました。


作者の想像の世界ではきちんと補完されているんでしょうが、それを正確に十分にアウトプットできていない、のか
な?と感じました。小説は作者と読者、両者の想像力の柱で成り立つものだと思います。ところが、いくらこっちが
想像力を逞しくしてもどうも作者の思い描いたモノがなんなのか判然としない。もっと作者の想像した物語を文章に
してくれたら、と思いました。


怖い話コピペのそれですね。オカ板でありがちな怪談話、寺生まれのTさんイズムを感じました。お題の「ONE」
が、とってつけたような対心霊現象特別部隊の通称になって消化されているという点が個人的なツボ。


ゴミ


小説は出だし9割などと言われますが、この作品の出だしだと、歳月や、とりわけ「二十年」が物語のキーになるの
かな、と思いました(実際はそうでもないかも)。普通に読むことの出来る佳作だと思いました。強いて何か文句を
つけるなら、「ONE」というお題とはあえて繋げなくても良かったんじゃないかなと。「0から1へ」あたりの文章
からふわっとしだしている印象を受けました。といっても私の難癖ですよ。

残りはいつか

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2014.06.04 12:41

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html

こういう作品を読んだときにまず思うのは、どれだけ考えて書いているのかということ。
思考をただ垂れ流しているだけなのか、それとも一つ一つに意味があるのか、判断するのはとても難しいです。
あんまりタイトルと内容がマッチしていない気がするんだよな……
文字数12345は狙って書かれたのだろうか。

No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html

私の作品。これ、出した次の日にちょう後悔しました。
書いているうちに疲労感で頭の中がぐちゃぐちゃになってきて、無理矢理完成させて、「ええい、いいや出しちゃえー」と思って出しちゃったんですね。
まだ一週間ぐらい時間があったのだから、もう少し粘っても……

No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html

「アリケルエラスメネス」←こういう自分が知らない言葉に出会ったときにググる癖をなくしたい。
「ぼくね、今日から小学校にいくだよ」の「いくだよ」は脱字なのか、そうではないのか。
くーたん……
最後に全部繋がっていたら面白かったんですけど、そうじゃなさそうっぽいのが少し残念です。
個人的には3の話なんですけど、思考的にはちょっと『無い』気がするんですね。
自分でプラスチックの彼と言うところとか、実体はないけれどと言うところとか。
どうしても異常者を演じているようにしか見えないのです。
そういう設定だとしたらアリといったらアリなんですけど。

No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html

真・剣・に書け!
思わずそう心の中で叫んだ作品。少し笑ったけど。
一本杉も光線銃で爆発させてくれよ。
一本杉を恐れる冒頭とラストが矛盾している気がするけど、そういうのに突っ込むのは野暮なのかな。

No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html

いや、頑張れよ(´・_・`)
最後そういう思考に陥る人見ると悲しくなってくるわ……
一度断られた本屋に毎日行くってすごい根性あると思うんですよね。報われてほしいです。
個人的には、主人公をもうちょっと能動的にしてもらわないと読む方としては苦しいと思いました。

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html

なかなか評価しにくい作品です。
読んでいると文章がうまくて、思わず関心票ぐらいは入れたくなってしまうのだけど。
というかつい先ほどまで入れる気でいたのだけど。あらためて振り返ってみると、どうも……うーん。
まず読んでいて違和感に残ったのが、エリナ覚醒時の描写なんですね。
変節が突然すぎる。
私が思うに人の変節には段階があって、AからBに変わるまでには中間であるABの状態が存在するはずなんですよ。
悪口言われてからしばらく放っとかれるとトラウマになるんですよ、って「ほんまでっか」で澤口という人が言ってたと思うけど、
逆に言えばトラウマになるまでには少しの時間的猶予があるわけで。
この作品からはあまりそういう部分が感じられなかった。
あと、彼女がうまく体を動かせない原因である「心理的な」問題に対して、「私の中で何かがカチリと音を立てて組みあがった」
という解決はなんだか違う気がするんだよな。肉体的な方向に問題が変わっている気がする。
そういった意味で、作者に力はあると思うんですけど作品としてはあまり押せないんですよね。

No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html

うーん、これは……
私が作者の意図をうまく読み取れていない可能性があるな。
No.01もそうなのだけど、こういう作品はただ雰囲気に任せて読めばいいのかどうなのか……
翻訳がなー。
最も気になったのは、作品の内容よりも翻訳に対する作者の考え方だったりするんですね。
私翻訳家じゃないから本当のところは分からないけれど、本当にこんなこと考えていたりするのかなと。
もっともっと、うまく翻訳できない(なかった)ことについて悩むんじゃないかなと。
なお、ラストシーンはとても印象的でした。

No.08 Black Swan Song(木下季香)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html

はい優勝。おめでとうございます。まあ私の一存じゃ決められないけどね(´・_・`)
ぶっちゃけ本音を言うと、気に入らないところはあったよ。
妹が本当はできる子なのに、できない子に見せているところとか。人間的に嫌い。
けどねー……なんかそういうのを超えたところにこの作品の良いところはあったな。
盲目の少女に感化されるシーンが間違いなくこの作品のハイライトなのだが、その後も新たな見せ場があるところが大好き。
いったい過去にどんな作品書いていた人なんだって見返してみると、へー、あの人だったのかー。
腕を上げたな。しゃれにならんくらい。いや、前から文章はうまかったけど。ひとつ壁を越えた感がある。
私も越えてえ。

No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg
http://text-poi.net/post/ksatokiti/1.html

さて、いま話題の問題作。
なんというかこれはもったいないな。
他の人も言ってたけど、中盤以降はすらすら読めるのに前半がもったいない。
あとミューがニューとかツグムがツムグとか誤字脱字が多く目立って、せっかくこんなにたくさん書いたのにもったいないよ。うん。
個人的にラストはあまり好きじゃないけど、話としてはよくできているんだよな。
ルクルと兄は最初は嫌いだったのだけど、最後のほうは好感が持てるようになって。
けど乾きやサボテンの表現が連発で、そういうところもやっぱり勿体ない気がしました。
ぶっちゃけ最初のほうマウスとかディスプレイとかボカす必要ないと思ったし。
なんか心がけ次第でいくらでも救えそうな勿体なさなんだよな。
勿体なし。

No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/7.html

この作品、てきすとぽいでは No.08 の下に来てしまっているんですけど(というか私がそうしてしまったんですけど)、
ちょっと順番が悪かったかなと思いました。
悪くないんだけど、No.08 と比べるとパンチ力に欠けている気がして、どうしても見比べてしまう。
とはいえ最後のほうは完全にこの作品の世界に浸れていたから、やっぱりちゃんと書けている作品なんだな。
ただ、ユキノとヤエノミヤの関係を「そういう設定」として見てしまっているところがあって、そこをなんとか。
もう少し説得力のある描写があると印象が違ってきたのかなあと。

No.11 (時間外作品)身の回りの世界で(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/8.html

たどり着きました、最後まで。
No.02 で後悔した私が別視点でもう一度書き直そうとした作品。
本当は時間内に間に合わせるつもりだったけど、間に合わなかったよ!
しかも最初の感想をもらって即反省……
そして実はその後にもう一度後悔という、後悔に後悔しっぱなしの品評会でした。
以前ある小説で、最後まで結末を書かない方がいいっていう話を読んだことがあって。
どうも最近それにとらわれすぎている気がしました。
また一から出直しだなぁ。

***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.08 Black Swan Song(木下季香)
気になった作品:No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg
********************************************************

印象に残った作品ほど感想が多くなっています。そういう意味で、うわ、こいつロクでもないこと書いてるなーと思うものがあっても許してください。
今回「one」というお題を出させてもらったんですけど、はっきりいってこれは失敗でしたね……
どうしても題材が「ひとり」になってしまうんだよなあ。
モウリーニョの名言を出したけど、結果的にあれも絞り込みを加速させてしまったかなあと。
本当に今回の品評会は反省しっぱなしだ!

『たったひとつのぼくを求めて』にコメント
2014.06.07 16:26

やりたいことのために必要な気もしますが、「ぼく」という言葉が溢れすぎているような気がしました。数を減らして、重要なところで連続させるなどのほうが好みかもしれません。細かいところですとぼくはぼくを客観視できているというところがありましたが、その前にぼくは別のぼくとあったので、それは客観視とは違うのではないかと思いました。たんに客観視できていると言っているけれどできていないという描写ならいいですが。後半の混乱していくような流れになるのはおもしろいと思うのですが、前半から混乱がずっと続いているようなのは、少しつらい感じもありました。

『Black Swan Song』にコメント
2014.06.07 16:33

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
 面白く読ませていただきました。「one」というお題から、双子を出してくるのはなるほどなと思いました。自分が目の前にいるからこその、嫌悪感。姉の本性が顕わになるラストは、良いクライマックスです。ラストにくるまで妹のただの僻みなのか、それとも姉も実際に妹を嫌悪しているのかどちらに転ぶかわからないように書かれていたところに、工夫を感じます。それと個人的に、加奈と一緒にいるシーンが好みです。問題児っぽさがよく書けているなぁと。妹が加奈のように悪さを働くようになってからは、いつの間にか加奈がフェードアウトしていたのもまたある種のリアリティが感じられて良いいですね。
 ただ、「中学生の頃、幾度か姉の真似をしたことがある。」以降、文章が急に説明的になったのが残念でした。制限枚数ぎりぎりの作品に言うのも酷ですが、もう少し滑らかな見せ方があったのではないだろうかと。“説明”よりも“描写”を、というやつですね。盲目の少女と出会った場面も、姉が本性を顕す場面も、心情を描写しているというよりも説明してばかりで、特に盲目の方は自伝でも読まされているんだろうかという気持ちにさせられました。果断に叙述を省いてみると、よりスリムな作品になるかもしれません。
 執筆おつかれさまでした。

『あの日の真白なキャンバス』にコメント
2014.06.07 16:40

前半のなんともいえない雰囲気が、おもしろかったです。オチがあってわかりやすくなってるとも思うのですが、個人的にはそのわかりやすさはいらなかったかもしれないとも思いました。関心票を入れました。

『一本杉』にコメント
2014.06.07 16:44

あまり好みではなかったです。途中、地の文で「Bが首をつった」とあるので、実はBじゃなかったとするのはルール違反というかわかり辛い気もします。セリフとかならいいですが。もうちょっと怖いオチがよかったなーと思いました。

『もう、一人でいいから』にコメント
2014.06.07 16:50

痛い。痛い。痛い感じがおもしろいです。なんかものすごいわかるような部分があって。ただ少しだけ、その痛さがつくりものっぽい感じもしました。作り物ではあるのですが、まだなりきれてないような。関心票いれました。

『THE ONE ◆Mulb7NIk.Q氏』にコメント
2014.06.07 16:59

急な覚醒がなんか違うなーみたいな感じに思えました。ねじ巻きみたいというのはよかったですが、それをそのまま続けていいとも思えないのでどうすればよかったかはわかりませんが。

ぜんぜんまったくわからなかったです! こういう意味不明さみたいなのはじぶんでもやりたいと思ったりやってみることもあるのですが、それが最初から最後まで同じような感じで続いているとあまりおもしろくないのかもしれないと思いました。読み切れていないだけとも思えますが。最初の雰囲気は好きでした。

『Black Swan Song』にコメント
2014.06.07 17:12

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
細かいですが、部活で運動している姉としていない妹で体つきとかが変わったりしないんだろうかと思いました。双子だとそれでも似ている感じかもしれませんが。レノ自身が姉かなーと思いましたが微妙にはずれましたw 盲目の少女のシーンはいらなかったかなと思います。盲目だから心が綺麗というのはあまり好きではありません。盲目でも心が汚い人はいるでしょうし。おもしろかったのですが、姉が妹を憎んでいたというよりは、本当に心の底から心配していたとかのほうが怖くておもしろくなったかもしれないとも思いました。関心票をいれました。

一覧ページにコメント
2014.06.07 17:32

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)

この作品の冒頭に目を通した時に、私は思わず引き込まれました。
そして私にとってこの小説は、品評会における批評云々を抜きにして、とても好みの小説となりました。ラブです。

まず、この読んでいるとたちまち酔ってしまいそうな程に饒舌な文体。
サリンジャー、或いはサリンジャーに影響を受けたと思われる人たちを彷彿とさせます。
もちろんそれは文体の話であり、作品としてはSF要素を取り入れた文学的作品だと思うのですが。
しかし、このいつまでも終わることの無いような予感を覚えさせる軽妙な文体。これは非常に私の好みです。もう文体だけで百点満点です。
などと言ってしまうと他の作品への差別になってしまうし、平等な評価ではなくなってしまうので(私としては出来るだけ平等に評価をしたいのです)
なるべく好みとは切り離して、この小説の分析(の真似事)を試み、そして批評を書いて行こうかと思います。

SF系の書き手だと聞いて納得。自分の知っている範囲の知識で申し訳ないのですが、
円城塔さんが書くような、言葉によって思考の構築を試み、世界の在り方を言葉で構成し、そして遊び心を加えながら、
小説という文章の数式を完成させていく、まさに理解できそうで理解できない、実験的(と評してしまったら失礼でしょう
か)な作品だと感じました。
と言っても私は普段、本格SFは読みません。円城塔さんにしても、文學界に載っている幾つかの作品に目を通したことがあ
る程度です。
しかし、この一見すると不可解な、抽象をこの世のものとして具現化しようとする発想は、SF作家的文章なのだと感じました。

或いは、【3】段落目なんかは文学詩における散文詩にも似ているのではないかと私は感じます。
若手の文学系詩人(という言葉があるのでしょうか?)の作品や、文学極道というサイトで投稿される詩の如く、自由な発想で、
既存のルールに縛られない言葉の並びや使い方、文の構成の仕方で、一つの作品を作ることを試みる。
このような作品は私にとってやはり面白く、普遍的な試みによる小説的面白さの欠乏がある作品や、つまらないアイデアを
だらだら並べ立てた小説、ただ奇抜なだけの幼稚な発想などより、
どうしようもなく心を惹かれてしまう。と言うよりも、どちらかと言うと、この作品はエンターテイメントとして読むより、
文学的な実験作品として(そして前衛的な文学作品がそうであるように、この作品にも、正解の解釈はないと思う)、作者
が思うとおりの成功を収めていると私は思います。


文体としては(すみません、もう一度語らせていただきます)、西尾維新さんや佐藤友哉さんなどのミステリ系エンターテ
イメントの方々も思い浮かびました。
もちろん作者がこれらの作家に影響を受けているかまでは分からないのですが、今挙げたお二方の様に、自分の思考をすら
すらと喋るような文体だと思います。
人間の思考というものは恐らく、このように揺らぎながら常に変化していくもので、そのあたりのリアルさを私は感じました。
思いついた言葉をそのまま表記することによって、それが小説として構成されていく実験。とでもいえばいいのでしょうか。
失敗しているか成功しているのかは読み手によって変わると思います。私はひとまず、そのような目的で成功はしている文
章なのだと思います。

絶え間なく思考する人間の、思考の揺らぎ、言葉が定まらぬうちに次の思考に移ると言う思考の一面を、
作者が意識して書いたかどうかはわかりませんが、しっかり表せていると私は思いました。

本を読んでいる人間の、抽象的なイメージを具現化した作品。まあ、作品の主題は恐らくこれなのでしょうが、饒舌な文体が心地よく、
本に浸っている人間の脳という部分を書いた、面白い作品だと思います。

一つだけ惜しいなと感じた部分は、小説における”フック”が無いこと。
読者の心をひっかけるような明確なテーマ(付け焼刃的でないもの)、或いは描写、場面。それが一瞬でも現れれば、
この小説はもっと化けると思います。
もっと広く読者の心に残る作品になると思います。

お題に則しているかという点では、お題が抽象的なものであるため、このような解釈でも問題ないと個人的には感じました。


No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)

うーん……評価の難しい小説です。
荒を探してしまえば色々と出てきそうなのですが、書きたいことはちゃんと伝わってくるという、しっかりした形になって
いる作品……。
物語の核はしっかりあるが、その肉づけが薄く、味気ないと言う印象を抱いた作品でした。

とりあえず気になった点を以下に書かさせていただきます。

まず
>>以前まで写真に興味のなかった私が、急に興味を持ち始めたこと。雨であるにもかかわらず、わざわざ夜に散歩しに外へ
出かけたこと。
>>公園に足を踏み入れたこと。どれもが自分の認識する自分とは異なっていて

物語のきっかけとなる大事なこの部分の説明が、最後まで明確になされていないような気がしました。
この描写における主人公の動機、あるいは主人公が異常な思考へと変わってしまった理由を説明しないと、
主人公がどうして正常な思考から足を踏み外していったのか、と言うのが分からないと感じました。
もちろん、あえて不気味さを演出するためにそうした可能性もありますから、そうした方がいい! と私も強く言うことが
出来ないのですが、しかしこの部分は少しモヤモヤする点でした。

次に >>あのスマホには、絶対に他人には知られたくないデータが入っていた。もし知られたら、自[ピーーー]るしかなくなって
しまう――

この部分。
多分、読者に想像を促していると思われる描写。最後まで謎は明かされない(もしかしたら私が気付かなかっただけで明か
されていたのかもしれません)。
物語における重要な謎として受け取ったのですが、しかし最後まで読んでも、結局この描写の意味するところが分かりませんでした……。
どうしても、主人子がのっぺらぼうのいる場所へ戻るための道具として出された感が否めないのです……うーん。
私の勘違いか、読解力のなさのせいもあると思うので(時々、壮絶なる変な読み方をしてしまう時があるのです)作者さん
の考えがあるのならば、教えて頂きたいです。
主人公が子供を誘拐すること(背徳行為へと落ちていくこと)を示唆する布石でしょうか。
それとも他にも子供がいたと言う事なのでしょうか。
今一つ、この描写の意味するところが読み取れませんでした。物語的に、重大な感じがする書かれ方をしてるのですが……。

その辺が気になりつつ、最後まで読んでみました。
そうしてみると、この作品におけるテーマは【自分よりも弱い者に依存しようとする、孤独な女性の不安定さ】だと解釈し
ました。

オチでは、自分が依存していた者が地位を得て、そしてまた一人になってしまう。主人公自身も老いてしまって、女性とし
ての尊厳も失われていく。
何と言うか、子供を勝手に攫って依存した(あるいは依存させた)という事への報いを感じさせる、勧善懲悪的な着地な仕方だと感じました。

この辺は、以前から書かれているほげおさん的テーマがぶれていない感じがして、とても良いと思いました。
背徳に身を任せて孤独になる、というのを瑞々しい世界観で書ける人だと思いますので。

しかしながら、人物の造形の仕方や、会話、人がのっぺらぼうに見えると言う比喩も、少し定型形の様な気がして、モヤっとしました。
ほげおさんが絶好調な時は、とても瑞々しい比喩をされる方なので、少し今回は疲れていたのかな、という勝手な印象を受けました。すみません。

物語のテーマはしっかりと感じますし、書きたいことも理解できる。
ただ、その物語の道筋が少し、ストレートに行き過ぎなのではないかと言う気がしました。
女性が狂ってしまったきっかけとなる描写、回想、そのような場面が挟まれていれば、惹きこまれたような気がします。
あるいはその女性の過去、心の深い部分、を読んでみたかったです。

良い部分と悪い部分が、奇妙に同居している小説だと思います。
その点で、どう評価したらいいのか、私は少し悩んでしまいました。
後半の文体も、描写が淡々としすぎているような気もします。

厳しいことを書いてしまいましたが(お気を悪くされたらすみません)、しかし良い時のあなたを知っている分だけ、
この小説に落差を感じて、あまりいい評価が与えられませんでした。


No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)

私もよく、文章を書き始めた時にこのような作品をたくさん書いていました。
小説の形態と言うよりは、散文詩的、頭の中の設定やシチュエーション、比喩を書き出し、そして構築を試みるタイプ。
私は前から思っていたのですが、犬木さんは詩人的な方だと思うのです。草食系的な詩に近い形態を好む人だと思うのです。
ホープノーマルしかり前回の作品しかり。品評会では評価が得にくいと思いますが、しかし自分の勝負できる作風があると
言うのはとても素晴らしいと思います。
この作品は小説観だけを持ち出して評価するのは少し違うと思うので、
純粋に文章と表現を見て、批評を書いて行こうかなと思います。

それぞれの設定や着眼点……というよりモチーフとなるアイデアは素晴らしいと思います。
しかし、そこに読者の心を驚かせよう、揺さぶろう、裏をかこうと言う、変な言い方をすれば『ズルさ』がない。
巧い書き手と言うのは(もちろん私はまだまだそこに到達していませんが)、優しい世界を書いていても、
このような『ズルさ』、読者を驚かせようと言う試みが入っているものです。
それを加えられたら(言うは易し、しかし実際には難しい、私も挑戦し続けています)、この文章はもっと良くなるように
思いました。

それと文体。恐らくそれぞれの場面で違う人物なのだろうと思うのですが、それぞれの一人称をもう少し工夫したら
作品に面白さが出たのではないかと感じました。それぞれに差異がなく、人間性が深く表せていない気がします。
最後に出てくる人物が書いていると言う設定なのでしょうが、ただ描写が羅列されているだけで、そこに主張があまり感じられませんでした。

しかしながら、この作品を読んでいて可能性を感じさせるアイデアがたくさんありました。
例えば場面2や場面3、5など、人間の暗部を予感させるアイデア(人形に依存する、異性の人形を買う等)があるので、
その病んだ面をしっかり誤魔化さずに書けると、と言うよりも格好つけずに書ければ、もっと深みが出るような気がします。
と、無責任に書きましたが、犬木さんの作風で汚いことに挑戦すると言うのは、ある意味では諸刃の剣かも知れません。
あまり私のアドバイスを気にせず、参考程度にお受け取りください。

一つ一つのアイデアは面白いと思ったのですが、その一つ一つ、あるいはどれかを、もっと深く掘り下げて見てほしいと
誠に勝手ながら感じました。

あと、お題への結びつきが弱かったです。そこが弱点となってしまうのは惜しいと感じました。



No.04 一本杉(茶屋)


【洒落にならない怖い話】ではなしに、【洒落になる怖い話】。

文章はかなり読みやすく感じました。
余計な装飾のない文体で、淡々と語られる物語は、読者を引き込むのに適していたと思います。
怖い話と言うのは、どうも怖がらせようという意識が働いて、変におどろおどろしい文体になってしまいがちですが、
作者さんはその辺のバランスが巧く、変に驚かせようとせずに語りを進めていたので、引きこまれるように読ませていただきました。

そして恐らく評価が分かれるのは、この奇抜なオチなのでしょう。
メフィスト賞作家の方々を思い出します。ぶっ飛んだオチです。
私は個人的にとても好きで「ぶっ飛んでるなあ」と思いながら好意を持ってしまうのですが
しかし投票するのにこの小説を推せるか、と言ったら考え込んでしまいます。

もっと強烈な爆発を感じてしまいたいと、心の中でもやもやとした気持ちが残ってしまいました。

ストレートに怖い話で終わらせたくなかった作者さんの意図は感じられたのですが、
うーん、やっぱり小学生的なぶっ飛んだオチと言うのが、ちょっと安易じゃないのかと思ってしまいます。
すごく好きなんですけどね。

小説とは関係ないですけど、大喜利をやってる時のホリケンさんとかを思い出します。
でも、ぶっ飛んだオチで勝負するのならば、もっとこちらを木端微塵にするぐらいの爆発力が欲しかったです。
もっと根底から度肝を抜くぶっ飛んだオチがあったらと、そう思ってしまいました。

しかしショートショートとして読むと、王道な感じで、上手い構成だなあと感じます。
でもまだまだ圧倒的にインパクトが足りないし、巧いと思わせるオチでもないのが残念でした。



No.05 もう、一人でいいから(すずきり)

本作を読み終わり、この作者はこの作品で何を述べたかったのだろうかと考えた時に、
【自分の心境や感覚を共有する相手のいない、自意識だけが肥大した孤独な女性】を書きたかったのだろうと、私は勝手に推測しました。
No.2と大まかなテーマとしては一致しているような気もします。

電車内でスマホばかりを弄る人、愛想がよく外見に気を遣っている自分とは正反対の先輩(異性)
化粧のできない自分、垢抜けてしまったかつての同類、そのような人物対比、というかアイデアは面白いし上手いと感じました。

あと個人的な感想なのですが、宗教(あるいは自己啓発セミナー?)の怖さが書かれていないため、
リナちゃんがただ宗教を勧めてくる勧誘員のようになってしまっていて、今のリナちゃんの人間性が描かれていないのが
残念に思いました。

他の人も書いていましたが、その宗教の恐ろしい面、怪しい面、あるいはリナちゃんが
マインドコントロールされている描写と言うのがないと、何と言うか、
主人公が感じる社会の(あるいは人間関係の)面倒くささと言うのが深く伝わらないと思うんです。

それに、ただ批判されるべき記号として簡単に宗教を出したみたいに見えて、
あるいはとても糾弾されることになるかもしれません。まあ、そんなうるさい事を言う人なんてほとんどいないと思うんですけどね。

ただやはり、そうですね……。
リナちゃんがマインドコントロールされているんだな、としっかりわかる描写が欲しいと感じました。
もしくは、主人公が宗教セミナーに参加し、そのセミナー独特の気持ち悪さをしっかり描写してしまうとか。

物語としては、社交性のないまま大人になった女性が、結局そのまま一人で生きていくことを決意した。
いわゆる【社会の中で生きているマイノリティーな人間の苦しみ】的作品だと思います。どちらかと言うと文学系。

だとすれば、もう少しその主人公の孤独を踏み込んで書くか、
あるいは宗教的マインドコントロールの恐ろしさの方を主題にしても面白かったんじゃないかなと、
個人的に思ってしまいました。

文章は読みやすく、とても上手だと思いました。
人物造形はありがちながらも、変に奇をてらっていなくていいと思います。



No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q

他の方も仰られている通り、文章がとても上手でした。
しっかりと海外作品風(翻訳調)の文体を作りだし、淀みなく最後まで書けていると感じました。
そして物語も面白く、最後まで飽きることなく読むことが出来ました。

小説としての完成度は、かなり高かったのではないかと思います。


しかし一方で、>>――落ちていく瞬間、私の中で何かがカチリと音を立てて組みあがった。

ここがやはり唐突で、ご都合主義と言わざるを得ない感じがしました。ここまでの流れが素晴らしいだけに、
この描写が唐突に現れたことで違和感を覚え、戸惑いました。

そのような都合の良い奇跡が、人間の身に唐突に、しかも抜群のタイミングで起こる事なんてまずあり得ません。
もしそのような奇跡を描くのならば、それを読者に納得させるだけの密度の高い描写をするか、
それとも奇跡が起こるまでの予感を感じさせる、身の変化を読者に気づかせるような描写を事前にしておくべきだと感じました。

物語における奇跡というのは、やはり読者に納得してもらわなければいけません。
それは本来、現実ではありえない事なのですから。
失敗してしまうとご都合的展開だと揶揄され、作品を傷つけかねない諸刃の剣だと思います。
もちろん私も、奇跡をうまく描写することは出来ていません。使いたくなりがちですが、やはり難しいです。

更にこのエリナの体が正常になる描写、それが唐突にエリナが語ったという回想描写として現れるので、
読む際に引っかかってしまいます。
主人公の視点で描写してから、後にエリナはこう語った――とすると自然になるのかなと感じてしまいました。

と、偉そうな事を言ってしまいましたが、この部分以外がとても魅力的で完成度が高いだけに、
一番の見せ場で違和感を覚えさせるのは惜しいなと、どうしても感じてしまったのです。

それくらい上手な文章、構成だったと思います。素晴らしい作品でした。



No.07 ノスタルジックの船よ、沈め


実を言うと、自作です。

とあるアメリカの新人小説家であるお二方の小説を読み、「この人たち凄いっ!」と唸らされ、
自分もそんな作品を書いてみたいと思い創った作品です。

故に、品評会で見てもらうために書いた、と言うよりは、
自分の好きなものを好きなように書くという趣旨のもとで書かれた作品です。
品評会で勝てる作品ではないな、と思いながらも、どのような評価がされるのだろうとワクワクしながら投稿した、
そんな実験的作品でした。

この作品及び今回品評会に参加した理由は、No.1さんの作品を見て、これはすごいなと思わされ、今回は品評会に参加して、
自分を高めるためにこの人と競い合ってみようと思い、この作品を書き始めたのです。

当初、全くアイデアが出ずに、とりあえず好きなものを書いて、その後でちゃんとしたものを書こうと思い、
こんな摩訶不思議な作品が出来上がりました。
影響を受けた二人の作家さんも、詩的で不思議な世界観の小説を書いている人だったので。
もちろん私とは比べ物にならないくらいに、すごい想像力と技術で書かれています、私が影響を受けた方たちは。

ちなみに、この小説がちょっと奇抜すぎるのと、二作連続で同じトリップの人が投稿したらうざいかなと思い、
いつも使っているトリップとは別で投稿させて頂きました。
いつも使ってるトリップだと、知っている人からすれば、「また変な作品書いて来たな」と思われそうでしたので、
色眼鏡なしで(私を知っている人がいるかどうかも分からないですが)どのような評価を受けるのかと、挑戦した作品で御座います。

ほげおさんにはお手数をかけてしまい申し訳ありません。転載ありがとうございました。本当、ごめんなさいっ!



No.08 Black Swan Song

いつものトリップで投稿しました、自作です。

書いている途中で、あまりにも普遍的すぎないか、長すぎて話がたるまないか、と不安になっていたのを覚えています。
書き始める前に、簡単にプロットを作り、構成に力を入れて書いた作品です。
吉田修一さんのような、構成が上手い小説を目指して、この作品を書き始めました。

書き終わって投稿した後も、この小説が皆様にどのような評価を受けるのかドキドキして過していました。
もっと読みやすく書くことが出来たのではないかと、文体が気になってしまって……。
いつもとは違い、文体よりも構成に力を入れたので……どうなるのだろうなあ、と。

それと、書いた後にふと思い出したのですが、
私が小学生の頃、学年の離れたクラスに、双子の兄弟がいました。
彼らは一卵性双生児であり、顔では見分けがつきません。性格もまったく一緒、声も一緒、
それが当時の私にとって、とても不思議に感じたのです。

彼らが高校を卒業したある日の事。
私は高校に入ったばかりで、彼らの存在など忘れて新たな友達を作り、過していました。
学年が離れていたこともあり、あまり接点もなかったのです。
そんな双子の情報が耳に入ったのは、恐らく夏頃だったと思います。
仕事から帰ってきた母が、〇〇くん(双子の弟の方)が、警察に逮捕されたらしいよ、と教えてくれたのです。

私は驚きました。いつも明るく皆の人気者だった彼が、なんで逮捕されたのだろうと。
母が言うところによると、暴行で逮捕された、との事でした。

更に二人の近況を、母が続けて話してくれました。
双子の兄の方は有名大学に行き、好きな事を学んでいるそうで、
弟の方は高校を卒業した後働きに出て、今回暴力事件を起こしてしまったらしいのです。

一体全体、全く同じに見えた二人が、なぜこうもそれぞれ変わってしまったのか。
どこの時点で二人は別々の方向に向かい始めたのか。私には不思議に感じました。
書いている途中に思い出したわけではありませんが、書き終わってしばらくした後に、
その二人の事を思い出していました。

――私は双子=二人という認識で彼らに接している。しかし彼らはやはり、それぞれ一人の人間であり、
それぞれの人格を持っているのだ。
彼らは外見が同じというだけの、まったく別々の人間である。

その考えは、書き始めた時から自然と浮かび、この小説のテーマとして持ちだされたものでした。
そのテーマが、自分なりになんとか書けて、ほっとしています。



No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg[


登場人物の関係性を丁寧に書いたエンターテイメント作品。他の方が言われている通り、
序盤の文章が不安定だと感じました。
色々と気になる部分が多く、物語の中に入りにくかったです。

それと最初の方の文中にある、『身を固めて』の誤用も気になりました。
意図は分かるのですが、そこはあえて身を固めると言う凝った表現を使わずに、
『留まって』などの表現でよかったように思います。
このような微妙な違和を感じさせる文章が時々出てきて、その度に読むのが止まってしまいました。
なんかうるさくいう奴ですみません……。


序盤の展開でも気になることがありました。一番最初の場面。あそこはいきなり書くべき場面だったでしょうか?
ガラスの向こうとこちら側(非現実側)と言うことを強調したかったと思うのですが、読者としては混乱してしまいます。
三人の関係をミステリアスに演出しているのでしょうが、正直に言うと、ここがあまり機能していなかったように思えてならないです。
男がゲームを始める場面からでもよかったように思えてしまいます。その後で、ミュー(ニュー?)とルクルの会話を入れれば、
流れとして綺麗に見えた気がします。

その他、人物の名前が安定していない(ニュー→ミュー等)、段落の最初が空けられていない、『ふいに突然』など日本語として変な文章がある
などいろいろと気になることはありましたが、しかしこの作品が、一番読者を楽しませようとして苦労して書かれた作品なのが分かりました。
作者の力の入れようが伝わってきます。
悩みながら(あるいは楽しみながら?)時間をかけて作られた作品なのでしょう。
それだけで、もう評価に値するのだと思います。

設定としては、ライトノベルやギャルゲー、小説家になろうなどで書かれていそうな、不思議な設定のエンターテイメントだと思います。
指摘すべき穴は結構あるように思いますが、最後までしっかり物語を書き、丁寧に描写を続け、最後まで書ききったのはとてもすごいです。

この作品においては野暮なことは言わず、楽しめるか楽しめないか、それに尽きると思います。

が、最後に一つだけ野暮な事を言うのならば、お題にそっていないような気がしてなりません。
以前本スレ>>419で出された【女子アイドル『兄は私のマネージャー』】をお題として書かれた作品であるような気がします。
まあ、【one】を感じさせるような描写もなくはないですが……。この品評会に出すべき作品だったのか、疑問を感じます。

と意地の悪いケチをつけてしまいましたが、一番力を入れて書かれた作品であるように思うので、このレス数にはやはり賞賛します。
まさに問題作でありながら力作だと思います!


No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.

読んでいて切なくなりました。書き方が上手かったです。
最後の辺りが少しわかりにくかったです。と言うよりも、ミズカの抱える闇が今ひとつわからなかったです。
恐らく私の読解力(および想像力)が足りないのだと思います。
しかし作品の雰囲気や書き方は、今回の品評会の中で一番好きでした。

恐らく読み手である私たちが、二人の関係を、そしてそれぞれが抱える思いを想像することによって、映える作品なのだと思います。
読み手によって評価は分かれそうな気がします。彼女たちの抱える複雑な思いが、もう少し見えればいいのに、と私は思ってしまった。
なんだかこの作品に妙に惹かれた。心を動かされた。それは確かです。



No.11 (時間外作品)身の回りの世界で

No.2の作品よりも、文章が安定している印象を受けました。
この小説の後半、前回のような短い描写を書き繋げていく文章から、一つ一つの心情を掘り下げようとする文章になっていて、
良くなっているように感じました。
以前の『のっぺらぼう』というメタファーを持ち出すよりも、自然に母親との回想が入っていることで、主人公の人間性が少し見えた気がします。

ただやはり、子供を拾って育てると言うことは大変なので、その辺の葛藤なり、親となった自分の心情や、
かつての母の心情を想像するなりがあったらなあ、となんとなく思ってしまいました。

ラストシーンについては、人間などそう簡単に変わることが出来ない、というメッセージが込められている風に私には思えたので、
これはこれでいい終わり方なのだと思います。
結局は主人公にダメな部分があり、そこを直せずに、また元の孤独に戻ってしまう。大人になった人間がそう簡単に変わることなど出来ないのだ、という主張に感じました。
孤独に戻る場面と言うのは作者さんが書きたかったことだろうし、これはこれできっちり成功していると私は感じました。

たとえどんな人間と出逢おうが、本質的な問題を解決しなければ、人は心から変わることなど出来ない――
私にはそんな叫びが聴き取れたような気がして、わりと好きなのです。
それが意識的に書かれたものなのか無意識に書かれたものなのか分かりませんが、
駄目な人が、陳腐な創作の様に、簡単に心を入れ替えて人生が変わるだなんて、それは嘘っぽいですし、物語に対して正直ではないです。
作者さん的には後悔はあるのでしょうが、この作品はこの作品のままでいいのだと私は思います。

そしてできれば、主人公の問題の本質、という部分を少し踏み込んで書いてほしかったと感じました。


No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.

読んでいて切なくなりました。書き方が上手かったです。
最後の辺りが少しわかりにくかったです。と言うよりも、ミズカの抱える闇が今ひとつわからなかったです。
恐らく私の読解力(および想像力)が足りないのだと思います。
しかし作品の雰囲気や書き方は、今回の品評会の中で一番好きでした。

恐らく読み手である私たちが、二人の関係を、そしてそれぞれが抱える思いを想像することによって、映える作品なのだと思います。
読み手によって評価は分かれそうな気がします。彼女たちの抱える複雑な思いが、もう少し見えればいいのに、と私は思ってしまった。
なんだかこの作品に妙に惹かれた。心を動かされた。それは確かです。



No.11 (時間外作品)身の回りの世界で

No.2の作品よりも、文章が安定している印象を受けました。
この小説の後半、前回のような短い描写を書き繋げていく文章から、一つ一つの心情を掘り下げようとする文章になっていて、
良くなっているように感じました。
以前の『のっぺらぼう』というメタファーを持ち出すよりも、自然に母親との回想が入っていることで、主人公の人間性が少し見えた気がします。

ただやはり、子供を拾って育てると言うことは大変なので、その辺の葛藤なり、親となった自分の心情や、
かつての母の心情を想像するなりがあったらなあ、となんとなく思ってしまいました。

ラストシーンについては、人間などそう簡単に変わることが出来ない、というメッセージが込められている風に私には思えたので、
これはこれでいい終わり方なのだと思います。
結局は主人公にダメな部分があり、そこを直せずに、また元の孤独に戻ってしまう。大人になった人間がそう簡単に変わることなど出来ないのだ、という主張に感じました。
孤独に戻る場面と言うのは作者さんが書きたかったことだろうし、これはこれできっちり成功していると私は感じました。

たとえどんな人間と出逢おうが、本質的な問題を解決しなければ、人は心から変わることなど出来ない――
私にはそんな叫びが聴き取れたような気がして、わりと好きなのです。
それが意識的に書かれたものなのか無意識に書かれたものなのか分かりませんが、
駄目な人が、陳腐な創作の様に、簡単に心を入れ替えて人生が変わるだなんて、それは嘘っぽいですし、物語に対して正直ではないです。
作者さん的には後悔はあるのでしょうが、この作品はこの作品のままでいいのだと私は思います。

そしてできれば、主人公の問題の本質、という部分を少し踏み込んで書いてほしかったと感じました。


投票する際に、N0.1とNo.6どちらに投票すべきか相当悩みました。
いっそのこと両方に投票しようかなとも思いましたが、やはり一つに決めるべきかどうかを思い、最終的にこのような結果に決めました。

***********************【投票用紙】***********************

 【投票】:No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q氏

       物語の構成力とリーダビリティという点を重視して考え、No.6に投票します。   
       読んでいく中で、一番物語に引き込まれ、心地よさを味わうことが出来た小説でした。
       今回の品評会の中では、小説としての完成度が一番だったと思います。
一つ欠点をあげるとすれば、お題の扱い方に疑問を持ちました。『one』への持っていき方が、無理やり繋げたような印象を受けるのです。
       もちろん、『one』を上手く使えなんてルールはないですから、これはこれで良いのだと思います。
       私にとってはこの小説が一番でした。  

     :No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)

       散々悩みましたが、やはりNo.1も投票させていただきます。
       一つの作品しか投票しないと決めていたのですが、やはりこの作品を関心票で済ませてしまうのは個人的に惜しい。
       実験的な作品でありながら、ここまで読ますことが出来るのは、評価に値すると思うのです。
       ずば抜けた一つのアイデアや表現こそなかったが、饒舌な文体での抽象的思考の構築は、やはり読んでいてクセになりました。
       最初はNo.6だけに投票しようかと思ったのですが、こういう実験的な作品が品評会では評価されにくい事を考え、
       ならば自分が推そうと思い、最終的にこの作品の投票に至りました。



 【関心票】(気になった作品)

      :No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg

        単純に読みやすく、物語に惹きこまれました。
        これが時間内に来ていたら、恐らく投票する際に、三つ巴の戦いになっていたと思います。
        どれに投票するか余計に悩んでいた事でしょう。次回は、ぜひ時間内に間に合わせて、優勝争いに食い込んでください。
         
      :No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)

        上記の作品よりも、何歩か劣る印象だったけれど、これからどう進化していくのか気になりました。
        世界観や、一つ一つのアイデアは、作者の中で完璧にイメージできており、出来上がっていると思います。
        あとはそれをしっかりと読者に伝える技術なり、リーダビリティがあれば、大いに化ける作者さんだと感じました。
        技術的に未熟さを感じさせるけれど、これからに大いに期待したいと言う意味で、気になった作品にあげさせていただきます。

********************************************************



  【総評】

今回はレベルの高い作品が多かったように思います。
いつもよりも多くの投票や関心票を入れていました。
上位三つの作品はそれぞれに良い部分があり、本当にどれに投票すべきかを悩みました。

お題については、かなり難しかったと思います。
もちろん難しいことが悪いわけではありません。それこそ腕の見せ所な気がします。
が、やはりお題に則りながら、それでいて読んで面白い小説を書くと言うのは、大変難しいことなのだと実感しました。

そんなお題にあっても、それぞれに個性のある、いろいろなタイプの小説が揃い、読んでいて楽しかったです。
ちなみに私も偉そうに批評など書いていますが、私の小説観は結構偏っているので、
偉そうな批評が書かれてあっても、話半分で笑い飛ばしてください。
その人にとって的外れなアドバイスになっていることもあると思います。

それと他の人も仰っていましたが、今回のお題のためか、確かに孤独や諦めをテーマにした小説が多かったような気がします。
どうしても『one=一人、一つ』というイメージが浮かびやすいのだと思います。
こういう品評会だと、他の人とアイデアが被ると言うこともありますので、小説の主題の選び方も難しいですね。

自分は二作品出しましたが、珍しく十作品を越える作品が集まって、盛り上がったと思います。
運営をしてくださった方、作品を投稿した方、感想を書いてくださった方々の全員に、心から感謝をしたいと思います。
皆様お疲れ様でした。

『一本杉』にコメント
2014.06.07 23:46

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
 面白かった! こういう話好物です。「Aは縄を投げるような動作をして、それが枝に引っかかると幹に縄を巻き始めた。/そして徐に幹を登り始めたかと思うと、縄の輪の中に首を通してぶら下がった。」ときて、「Bが首を吊った。」と書いたのがとても巧いなと思いました。AとBがごっちゃになってこんがらがっていく心霊現象の始まりを、端的に描写できているなと。一人称の地の文ってこういうことが比較的ラクにできるから、楽しいですよね。
 そしてお題「one」の回収方法がw これはなんというか、ずるい(良い意味で)。とても楽しませてくれるショートショートでした。
 執筆おつかれさまでした。

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
 これ、もしかして「翻訳者」って語義通りの「翻訳者」ではないのかもなぁ、と思ったりしました。二重鉤括弧で囲っていないので、一読者の勝手な解釈ではありますが、聖書を読み解いて人々に聞かせている牧師のような印象を受けたんです。作者さんも仰っているとおり、アメリカ文学的な宗教観の取り入れ方を感じさせる作品だったので、そう思ったのだと思います。
 それにしても「翻訳」の仕方がうまいなぁ。よくこうも雰囲気のある言葉を持ってくるもんだなぁと、感心していました。「一緒に『サイコアナルシス』しない?」とか、一度言われてみたいかも。「ミスター・哀れな仔羊」はとても愛されている感じがして好きでした。たぶん「見うしなった一匹の羊」とごっちゃにして読んでます。『アダムトラバス』も、「アダムにこんにちは?」「アダムが横ぎった?」などいろいろこねくり回してみる楽しさがあって、読者を楽しませる絶妙な言葉選びだなぁと。読者に考えさせる作品が大好きなので、読んでいてとても楽しかったです。
 指摘としては、細かい所ですが「ただの屍のようだ、という某RPGのメッセージ」というのが惜しかったです。なんだか、作者さんが我慢できなかったような惜しさを感じました。これって結局作者さんのネタではなくて、既製品のネタを引用しているだけなので、「翻訳者」の言葉にはそぐいませんよね。実験小説を書いている方なら共感できるかもしれないと思うんですけど、こういう作品ってついついこういうコンビニに売ってそうなネタに走ってしまうのですよね。そのほうが理解しやすいと思ってしまうし、なにより既製品が既製品たりえている安心感がありますから、つい手を出しちゃう。レディメイドを意識する作品でもない限り、こういうのちょっとなぁ、と思ってしまうのでした。
 それはともかく、光のない空間にいる二人と、光のある空間にいる二人(ワン合わせて三人)の対比はとても示唆的で面白かったです。「世界が明るくなっても、幸せにはなれなかったし、問題は何も解決などしなかった」というのは、ひとつの宗教批判を読んでいるようでした。「光」といっても「人工的な明かり」ですからね。聖典があるから戦争が起こるんだ、といっているような。ワンがワンという名前であることや、ワンが好きなものと嫌いなものを分別しているシーンからも、そういう印象が感じられます。
 ラストのシーンも実に綺麗に書かれていて、感動的です。最初から最後まで、とても面白く読める作品でした。
 なんか好き勝手に感想書いてしまいましたけど、ロラン・バルトさんに免じて大目に見てくださると幸いです。
 あとどうでもいいけど、「ノスタルジックの使者」が初読のときからどうしても「幼馴染」に思えてならなくて、萌えたりしました。。。
 執筆おつかれさまでした。

一覧ページにコメント
2014.06.08 00:35

てきすとぽいと BNSK 本スレの投票を総合した結果、優勝は「No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q」に決まりました。
おめでとうございます!

今回参加された方、投票&感想いただけた方、本当にありがとうございました!

『ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR氏』返信コメント
2014.06.08 00:36

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
まったくわからないと言う言葉、確かにその通りだと思います。
この小説はちょっとずるい小説であり、読者の想像に完全に任せてしまっている小説ですので、まったくわからなかったと言われるのも、この小説を表すうえでとても的確なのだと思います。

>>最初の雰囲気は好きでした。
ありがとうございます。
この作品を書く上で、最初の場面を書いてから二日ほど放置し、その後で続きの場面を書いては消し、また書き直し、書き上げた物をまた削ったり修正したりして、とごちゃごちゃになっている作品です。恐らく最初の部分と、後半部分では結構表現の仕方や書き方などが変わってしまっている気がします。
最初の場面を好きな方や、最後の場面が好きな方と意見が分かれ、読んでいる方にもなんとなく気づかれてるのかなあと言う感じがしました。私事ですみません。

このような実験作に感想を下さりありがとうございました!

『ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR氏』返信コメント
2014.06.08 01:09

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
 まさに仰る通り、個人的に翻訳者という語句は語義通りの意味で書いたものではありませんでした。と言っても、もちろん読む人にとって受け取り方は様々であり、この作品自体が色々な受け取り方が出来るように書いているので、どのように受け取ってもらっても構わないと言うスタンスで書いています。語義通りの翻訳者と受け取っても、メタファーとしての翻訳者として受け取っても、どちらでも想像の余地があるように、出来るだけ頑張って書いたつもりです。

指摘された点については、自分でも何故気付かなかったのだろうと言う程に的確な指摘でした!
確かにそこだけ、変な言い方をすれば俗っぽい表現になってしまっている気がします。すごく大きな反省点です……。確かにそこだけが比喩として浮いてしまっている感じがしますね……。

宗教批判は強く意識したわけではありませんでしたが、そのような見方もあったのだと、気づかされました。
元々この作品の切っ掛けは、ジュディ・バドニッツ氏とマヌエル・ゴンザレス氏が描く、不思議な世界観に込められた皮肉・愛情などを参考にして書いたのですが、私の手に負えないようなものの気もしました。書いていて一番楽しい小説なんですけどね、こういうの。

何と言うか、色々と想像してくださる読み手によって、救われている作品であるような気もします。
作者の自覚していないところまで拾ってくれている感じが。

批評、感想ありがとうございました。とっても嬉しいです。
ちなみにロラン・バルトさんに免じられたら、何も言えないです(笑)
そもそも、この感想もありがたすぎて文句のつけようがないんですけどね!

『たったひとつのぼくを求めて』にコメント
2014.06.08 01:39

※ 作品のネタバレを含む
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(遅れたちゃいましたが…)最近インセプションを観直す機会があったのですが、やっぱりSFはいいですね。パラレルワールドの時間軸・視点が微妙にズレつつ重なっていき、最後に一つに収束する構造(の根底にあるものが『ONE』と同じ方向性なのか実は逆向きか)は面白ったです。ただこれ、SF好きじゃないと取っ付きにくいだろうな…とも思いますし、SF好きの中でも合わない人はいるだろうなあ…とも思います。問題は「ONE以外」(=他者たちであり残りもの)への眼差し・距離感なのですが、「たったひとつのぼくを求め」るということは最終的には「ONE以外」を否定しているのか、それとも(「少し不思議」系の要素も垣間見えるし)それらと戯れられるからこその「ONE」と尊重しているのか…? また、章ごとに語り手のぼくは基本一人という構成なので「他者視」は章が改まらないと登場してこないのですが、逆にその章の主役のみが語らない構成にするとどうなっていたのか…など、色々な面で気になった作品でした。

『あの日の真白なキャンバス』にコメント
2014.06.08 01:44

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
時間に追われた結果でしょうか、とても勿体ない~…という印象です。書きたいことや、書いているご自身のイメージが一つに定まらないまま…とにかくハンググライダーで飛び立って理想のコースを探して滑空していたけれど、時間に迫られて着地点が決まってしまった、かのような印象を受けました。生に執着する「怪物」と、「怪物」の弱みにつけ込んで楽しむ主人公が、両者にかかる描写の「醜い」を挟んで切り替わる…など、凄く面白い素材は色々詰まっているのですが、それこそのっぺらぼうがコスメやコーデを頑張っているかのように、一つの顔を効果的に彩るアイテムにまではなりきれていない感じでした。なお、「あの日の真白なキャンバス」と見るなら輝かしい希望の可能性ですが、当初は「将来への漠然とした不安(からの逃避)」の象徴にも読めるので、その転換点が明確に描かれていないままだとラストの喪失感が説得力に乏しい気もしました。

『ヒトリ・ヒストリ』にコメント
2014.06.08 01:46

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
「その瞬間やっと気付いた。この夫婦は実在していない、プログラムのbotだったと。理想は目の前の箱にも海にも存在しなかった……」。この虚無感、いいですねぇ~。好きだな~。…ただ主人公が、「俺には」見せない(見れない)がリア充は実在していると捉えているのか、「実はどこにも」存在しないと捉えているのかによって孤独感の質も変わってきそうですね。…なお、総じて中二病的な自己肥大の果ての(人間同士とはディスコミュニケーション的な)孤独感の話が多い印象はあるかも。実際は未来(別の可能性)のある若者の孤独感と言いましょうか。死別とか決定的別離とか、大失態の責任を取っての自殺とか、コミュニケーション過多の反動としての孤独感や「先のない」絶望の要素などもあると、もっと深み・コクが増してよかったと思います(最後のオチの部分だけだと背景は見えないですし)。

『一本杉』にコメント
2014.06.08 01:47

※ 作品のネタバレを含む
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お題のONEが一本杉のことかと思いきや特殊部隊の略称、…かと思いきや最後に「一人残された」ことだったという、巧みな視点の操作がお見事でした(最後は少し急展開すぎましたが(笑))。首を吊ったのはA? あれB? あ、いや…という酩酊感から恐怖感へもそうですが、遷移・流れの緩急に独特のリズムがあって、個人的には心地いいのですが、リズムが合わない人には好まれないかも…と危惧する面はありました。なお、「Bと縄があった理由について話している」のはAなのかぼくなのかで、ぼくが視野に捉えているはずのものも変わるし、どこまでが狙った部分だろう…とか、一本杉で二人が待っていそうで怖いのか、それとも爆発しても倒れない一本杉自体が霊の本体と考えて恐れているのか…とか、所々ちょっと解釈が一本化しきらない感じも残りました。

『もう、一人でいいから』にコメント
2014.06.08 01:49

※ 作品のネタバレを含む
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ちょっと孤独感にブレ、ないし中途半端さがある感じでしょうか。このお話自体が「お一人様」教の布教活動なのかと思えてしまう…と言いますか。本当に孤独に沈む覚悟をしたら「語りかけ/報告」も成立しないので、最後は文体・口調が変わるはずだと思うのですが、そういった悲壮感が…ちょっと弱いかな。「もらったパンフレットは駅のゴミ箱に投げ入れた。週末にでも携帯を換えようと思う」辺りは淡々としたリズムが妙にコミカルでちょっと好き。…徹底してコミカルに描く線もあったかも?

『THE ONE ◆Mulb7NIk.Q氏』にコメント
2014.06.08 01:52

※ 作品のネタバレを含む
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ストーリーテリングはお見事しか言えない境地に既に達している方なのだと思いますが、作品として見ると、少女の生き様の転機と軌を一にして、前半後半が一つのものとしてつながってこない印象は残りました(一つの物語になる想像をかき立てさせるための構造かとも思いますが、どう一つになるのかもう少しヒントがあってもいいかも?)。少女の体が躍動し始めた後半は弱さを喪失したままとのことですが、それを兄が持って行ってしまった…というのもまだちょっと分かりません(抑圧されていた前半はただ弱いものとして拒否しているだけなのだとすれば、それが浅はかということ?)。結局、兄はさほど重要な存在ではなかったのか、主人公の知らない重要な部分があって語られるのを待っているだけなのかどうなのか…? 気になる気になる…。…いずれにせよ、優勝おめでとうございました!

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
多義的・示唆的…とても面白く拝読させていただきました。ただ、特に最初のうちはとても実験的で興味深く感じたのですが、「翻訳」表現がさほど伏線として機能しないままだと少しダレる感じでした。より短編向きといいますか。なお『    』の箇所は、唯一無二のものは翻訳不可能という解釈でよいのでしょうか。だとすると『祈り』のような言葉にならない表現、心からの言葉が向けられないワンの孤独が浮き彫りになる感じでいいのですが、逆に悟ったような割に最後まで語り続ける(言葉を持っている)主人公の位置づけは不明瞭になる気もしました。「自分にはない」祈りの感覚だから翻訳できなかった(つまり結局は主人公こそ孤独で、空疎な言葉に埋もれるだけな)のか、ワンと違って妻にだけは祈れた一瞬があった(孤独だったのはワンだけで、今や郷愁にせよ当時は若くて祈れた)のか…?

『Black Swan Song』にコメント
2014.06.08 02:07

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
実は明確な優劣がないからこそのオンリーワンへの飢えという設定・お題の消化方法がとても面白かったです。姉妹対決以外の対峙エピソードがもっと絡んでくるとさらに深まったのではないかと。現時点ではその部分が説明台詞などで補われているように感じました。加奈なんかも、もっと行動で語って欲しいキャラかも。言葉で語った途端に記号化・陳腐化してしまう感じでした。ちなみに、実はほとんど差がないとすれば加奈が妹だけに靡いたのはなぜなのでしょうか。表面的な違いしか捉えていなかった、だからさほど重要人物でもなかった…? 色々な方向に伸び代がある気がしてとても気になりました。…盲目の少女と出会った先には、盲目になって姿に囚われなくなる筋もあったかも(何だったら自ら目を潰してみせて…)? 「もうあなたを見ることも、気にすることもない」と宣言するとか、誰もが同列に黒一色となる暗闇の世界で誇り高く啼く、という意味での黒い白鳥も見てみたかった気がします。
(…あ、ネタバレ隠すの忘れた…と今気づきました、すみません! …公平を期します)

一覧ページにコメント
2014.06.09 00:55

おつかれさまでしたー。
◆Mulb7NIk.Qさんおめでとう!
次回こそは……勝ちたい……

一覧ページにコメント
2014.06.10 12:06

※ 作品のネタバレを含む
[ コメントを表示 ]
No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html
なかなか評価するのが難しい小説。一度目を通し終わって、恐らくリチャード・バックの「ONE」を読んでいる主人公の心理世界を饒舌体で
描写しているんじゃないかな、とあたりをつけてみる。件の「ONE」は読んだことがないので、グーグル先生のお世話になり、あらすじを読む。
なるほどなるほど、と。どうも平行世界の話らしい。それから愛の話。「ONE」は素直な筋のある小説ではないのだろうか、どのサイトを眺めて
も、ストーリーの部分にはあまり触れられていない。それを念頭に置いて読み返してみる。するとどうもこれは、心理世界を描写しただけの
単純な話ではなさそうだ。
と、ここでいきなり話は変わるのだけれど、僕は以前にハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」に触発されて、その構成や
モチーフを借りた小説を書いたことがある。それをふと思い出してニヤリとした。そこでまあ、氏の書いた小説を読み込むためにはやはり「O
NE」というテキストが必要になるのだろうから、どうにも評価が難しい。でもまあ、そうはいっても手元に問題の本はないし、仕方がないので
予想をまじえながら再び読み進めてみる。
語り口はどうだろうか。饒舌であり、とりとめなく、要領を得ない。これも予想でしかないのだけれど、元となったテキストは恐らく明晰な文章
(つーかフツーの文体と置き換えようか)で、平行世界のありさまを描写してるのだろう。じゃあ、次の点。様々な平行世界を旅し、自分の元
いた世界に戻ろうとするという、大まかな話の流れは一致している。ふむ。だが、書こうとしているものは全然違うんだな、と比較してみて気
付く。そしてまたニヤリ。容器は一緒だけれど中身は全然違う、まさに僕が昔やったのと同じ試みだ。ちょっとしたシンパシーを覚える。
この小説はどこへ向かうのか。こういった物語に王道的な解釈を施すのは難しい。なぜなら、そこにある文章が「意図せず書かれている」
可能性があるからだ。意図せず書かれた文章、こいつはやっかないな言葉だ。あるいは目的のない実験。
まず一応、5・4の章、3・2の章がセットになっているのは見てとれる。で、5・4の連なりは元となったテキストに関してのオマージュ色が強い
ことに対し、3・2は「1」というキーワードに基づいた文章になっている。3は単語を「1つ」づつしか使用できないというルールに、2は二人の
ぼくの一人称を「一つ」の段落に収めるというルールに従っている。屋台骨だけは見えた。
リチャード・バックによる「ONE」には(読んでないけど)どうやら明確なテーマがあるみたいだ。読み手は、「愛について」だとか「運命について」
「人生について」、いろいろな意味で「ONE」という題名らしい小説だとレビューしてる。じゃあ、この小説はどうだろう。構造について分析は
してみた。が、とりとめない文体は物語そのものの意味を散逸させてしまっている。何がしたいのかは分かったが、何が言いたいのかは
分からなかったという状態。そういった状態に読み手が陥ってしまうと、やはり疑念が生じてしまう。これは意図をもたない文章、ナンセンス、
狐と狸の化かし合いといったものの類なんじゃないか、とね。
なんとなくではあるけれど、「自己愛」あるいは「自己嫌悪」についての小説なんじゃないかなという気はした。だけれど、気のせいかもしれ
ない。自信を持って判断するための材料がやはり少ない。読者を特定の目的地に導くための道標は、信用していいのかわからない(語り手
への信頼の欠如)、もしくは、何らかの形で秘匿されている(饒舌は多くの無意味の中に真意を埋めていく)。一連の流れの中で、重要そうに
見えるのは、世界から世界への移動方法だ。「1」以上に分裂した「ぼく」を殺すことによって、別の世界へ。死についても幾度となく作中で
触れられるし、博愛的だった「ぼく」が、他の「ぼく」に大して激しい憎悪を抱くといったような変化も起こる。なるほど、分かりやすい。分かり
やすすぎて、逆に解釈に困るほどだ。この線で追っかけていけばそれなりに「こじつけ」は出来るだろう。
だけどこれらの出来事は、重要そうに見えるだけで、作者の中ではそれほど重視されていないのかもしれない。やはり最初に生じた疑念
通りに、作者は何も考えていなくて、実はただ垂れ流しの文章をここに残しただけという可能性もある。
と、まあ、そういうわけで評価に困るんだよなあ。ただの文体練習じゃね、とか思っちゃったり。も少しヒントがあれば読みやすかったかもー。

No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html
声に出して読んでみよう

No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html
恐らくSFを齧った書き手なのだろう

No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html
くだらねー、と思いつつちょっと笑ったよ

No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html
読みやすいね

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html
自作

No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html
好き。とーひょー

No.08 Black Swan Song(木下季香)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html
上手い。かんしん

<<< 投票期間は終了しました。 >>>
引き続き投票できますが、集計結果には反映されません。


票の集計期間 2014.06.01(日) 0時  ~  2014.06.08(日) 0時
作品の最短掲載期間 2021.12.31(金) まで[?]
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イベントの主旨、注意点など

――私は特別な存在(special one)だ。
 お題「one」
 ※お題の解釈は自由。ただし読み手を納得させること。 ...
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たったひとつのぼくを求めて
投稿時刻 : 2014.05.25 07:55 最終更新 : 2014.05.25 21:48
字数 : 12345
☆4.000☆5…0票
☆4…3票(期日後1票)
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
あの日の真白なキャンバス
投稿時刻 : 2014.05.25 22:34
字数 : 9301
☆4.000☆5…0票
☆4…2票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
ヒトリ・ヒストリ
投稿時刻 : 2014.05.26 03:44
字数 : 3839
☆5.000☆5…1票
☆4…0票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
一本杉
茶屋
投稿時刻 : 2014.05.26 20:40
字数 : 2508
☆4.000☆5…0票
☆4…2票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
もう、一人でいいから
投稿時刻 : 2014.05.26 23:18 最終更新 : 2014.05.27 22:33
字数 : 6068
☆4.000☆5…0票
☆4…1票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
THE ONE ◆Mulb7NIk.Q氏
投稿時刻 : 2014.05.30 23:41 最終更新 : 2014.06.03 01:03
字数 : 10103
☆5.000☆5…2票
☆4…0票(期日後1票)
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR氏
投稿時刻 : 2014.05.30 23:54 最終更新 : 2014.05.31 00:09
字数 : 6584
☆5.000☆5…1票
☆4…0票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
Black Swan Song
投稿時刻 : 2014.05.31 22:38 最終更新 : 2014.06.01 02:46
字数 : 17505
☆4.000☆5…0票
☆4…1票(期日後1票)
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
(時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.氏
投稿時刻 : 2014.06.01 08:16
字数 : 12343
未投票☆5…0票
☆4…0票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
アイドル「兄は私のマネージャー」◆1ImvWBFMVg
さと吉
投稿時刻 : 2014.06.01 08:42
字数 : 45597
☆4.000☆5…0票
☆4…1票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票
(時間外作品)身の回りの世界で
投稿時刻 : 2014.06.01 23:38
字数 : 8620
未投票☆5…0票
☆4…0票
☆3…0票
☆2…0票
☆1…0票

コメント
投票期間 : 2014.06.01 0時  ~  2014.06.08 0時

No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html

No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html

No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html

No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html

No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html

No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html

No.08 Black Swan Song(木下季香)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html

No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg[
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391418769/704
※本スレの >>704 から

No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/7.html

皆さん投稿ありがとうございました。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
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たくさんの方の投票をお待ちしています。

なお、時間外作品の投稿はまだまだ受け付けています。
BNSK本スレッドに投稿された感想をこちらに転載します。
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
[ コメント本文を表示する ]
No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html
 お酒を飲みながら思いつく文章を書いたような、そんな文章でした。
 リチャード・バックの「one」という本を読んだことがないので、この作品が深く読み込めなか
ったのだと思います。レビューをちらと読んだぐらいでは分かりませんでした。
読書最中の思考世界(?)での理屈も分からないので「そう書かれたならそうなのか」を繰り返
してだんだん無関心になっていくというか……こういった尖った作品は難しいですね。


No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html
 三十路間近の女性の情緒不安定さは凄く伝わってきました。何もするなといったり、電話取れ
といったり。得体の知れないものに固執して、そういった不安を紛らわせることはただの逃避な
んですよねー。なんか辛いお話でした。案外印象に残ったりするお話でもありました。
 物語の序盤でいくつか疑問が。なぜ公園に写真を撮りにいったのか。絶対に他人には知られた
くないデータとはなんなのか。公園に入ったのはなんとなく気分で、データは自分の悩みを題材
にした文章だったのでしょうか。想像できなくはないですが、できれば文章で言及して結末に絡
めると、もっとこの女性個人の変化が浮かび上がってきたのかなと思います。結局変化という変
化もしなかったんですけどね……辛い。


No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html
 作者さんの思ったとおりに読み込めているか分かりません。「ぼく」と「わたし」はやっぱり
別人なんでしょうか。歴史は繰り返すってやつなんですかね。そうすると、電子世界もダメに
なったら今度はどこへ逃げるんでしょう。最後の四行をどう捉えるかでがらりと変わりそうです。
私は五段落目のロボットが生き残ってご主人様を思い返しているのかなぁと思いました。
 もしかしたら、現実世界らしきものを仮想空間で体験できる最先端のシミュレーションゲーム
をプレイした人間の話なのかな。マトリックス的なものをほのかに感じました。
 とはいえ推測でしかありません。……上手く読み込めなくてすいません。すんなりと読み込め
て、最後の四行で驚くといったものに仕上がると良かったのかなと思います。


No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html
 洒落怖とか案外完成度の高い作品多いですよね。バトル要素があったり、幽霊萌えがあったり。
「霊だから」で説明つけちゃうので書くほうも気楽ですよね。展開の読めなさも読むほうとしては
ワクワクできる要素のひとつだと思います。
 オチはオマージュということでこれでいいとしても、物語のクライマックスはもう少し力を入
れて書いても良かったのでは。序盤の描写力がクライマックスにも欲しかったです。


No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html
 人物描写が上手でした。主人公の置かれている状況から思考まで過不足なく書かれ、力のある
方だなと思いました。なので、あとは書かれているものを読者がどう受け取るかだけなのかなと。
 まあガッカリしますよね、純粋な気持ちでないと知ったら。でも宗教と聞いてここまで拒否す
るのだったら、それに関する不快な過去等が一段落程度あると、結末のガッカリ感もさらに増し
たのかなと思います。なんかリナちゃん悪い人じゃ無さそうなんですよね……。やっぱり世間知
らずに付け入られて上手くいってるってだけの、ただの二十歳の子のような。断って豹変したら
納得できたのかな。そんなこんなでいろいろ考えれるいい作品だったと思います。

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html
 今回の品評会作品では飛びぬけて文章が上手でした。量はあれどスラスラ読める。語彙も豊富
で羨ましいです。多分何度も作者さんの作品を読ませてもらったことがあります。
 このタイトルは作中にて言及されるビートルズのアルバム名からでしょうか。音楽に明るくな
いので、どこまでそれがこの作品を膨らませるものなのか、下地になっているのか分かりません
でした。ごめんなさい。
 エレナの「強すぎて不完全」という部分を丁寧に説明した作品という印象を受けました。果た
して再会することができて、いったいどういった会話をするんでしょうか、気になります。それ
が主人公も含めた物語になるのかなと。


No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR 【関心】
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html

 投票用紙に記載。

No.08 Black Swan Song(木下季香) 【投票】
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html

 投票用紙に記載。


No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg
http://text-poi.net/post/ksatokiti/1.html
 楽しく読ませていただきました。エンターテイメント作品として、飽きさせないように話が展
開していったので、量が多くとも最後まで読めました。この板に建てられるスレに一番ふさわし
い作品ですよね。作者の思惑通りニュー可愛い、男コラッ! ルクルいうねぇ……ってなって話
にのめり込むことができました。
 話の筋が見えればあとはスラスラと読めたのですが、序盤は読みにくい。しょっぱなに少女、
少年、巨大な人間とがどういった配置なのか、関係性なのかが読み取りにくかったです。少年
少女はモニターの中にいるって理解するのに何回か読み返しました。描写する際の視点カメラの
問題ですかね。
 やっぱりこういった作品はハッピーエンドに限りますねー。


No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/7.html
 自作。時間外作品の扱いが分からなかったので、どうしたもんかと思ってましたが、てきすと
ぽいに転載してくださってありがとうございました。どうせ誤字るなら間に合わせたかったと心
残り。次回も参加できるといいな。


NO.11 (時間外作品)身の回りの世界で(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/8.html
 NO.2の人と同じ人でしょうか。もしそうなら、やっぱり印象に残るシーンが書ける方だと思い
ます。テンポ良くスラスラと読めました。
 大人になりきれない大人としっかりものの子供の物語は、お互いの満たされない部分を満たし
あって成長し合うという醍醐味があるので大好物です。読んでてダメ大人でもいいんだって安心
感も持てますし。こういったシチュエーションは、一時的な居心地の良い居場所として描かれが
ちなのがなんとも……。ニコちゃんは前に進める力を蓄えたのに対し、主人公はどうするのでし
ょうか。切なさに浸ったあとも、きっとやっぱり生き続けると思うので、作者さんなりのアンサー
を最後に書いて欲しかったなと思ったり。


 ***********************【投票用紙】***********************
 【投票】:No.08 Black Swan Song(木下季香)
         興味を持って読み物として読めたので投票。
        お題に真っ直ぐでしたし、姉の本心次第で結末が
        変わるので最後まで楽しく読めました。

 【関心】:No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
         翻訳者という説明で個性的な名詞の意図が分かっ
        たような。踏まえて読み返すと、それぞれの名詞が
        何を指し示しているのか想像する楽しみがありました。
 ********************************************************


 ――総評――
 今回は全体的に暗めのお話が多かったです。話のスタートから「孤独」や「諦め」「無念」等
ずっと落ち込んでいく展開が多かったです。あと、読むのに体力が必要な作品が多かったです。
とはいえ久しぶりの品評会なので、全作品楽しく読ませていただきました。
 お題の「one」が個人的には難しかったのかなと思います。どうにでも捉えられる分、お題を
中心に据えづらかったのかもしれません。その中でも、お題を意識させることができる作品を書
いた作者さんはやはり力があったのだと思います。
 品評会に参加した方々、てきすとぽいに転載してくださった方お疲れ様でした。時間外作品の
感想については、随時追加で行うつもりです。私の作品の感想もお待ちしています。
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
[ コメント本文を表示する ]
全体の感想はというと、わりとバリエーションは豊か。皆お題の「one」をどう扱うか骨を折ったんじゃないですか
ね。そのままストーリーに絡めにくく、抽象的なテーマにせざるを得ないですからね。あとこれは言っておきたいん
ですが、ほげおちゃん頑張りすぎぃ!!


本屋へ行き、一冊の本を手に取る。そして本の世界へ没入して行く、という感じでしょうか。
実際に「ONE」を読んでいたら、ちゃんと意図が掴めたのかもしれないんですが、私の読解力ではそれぞれの文やそ
の内容の意味を理解できませんでした。歯がゆい!という感じです。


主人公の不可解な行動や感情の変化の理由が描かれていたらいいなと思いました(自分が読み取れていないだけかも
しれないです)。序盤はきちんと説明文があるんですが、後半になるとだんだん段落が多くなって散文的?になって
いると思います。それによってある種の独特な趣が出ていると感じました。しかし一方で読者を置いてけぼりにする
ような、ともすれば「だから?」と説明を求めたくなる部分がちょっとあるような気もしました。


作者の想像の世界ではきちんと補完されているんでしょうが、それを正確に十分にアウトプットできていない、のか
な?と感じました。小説は作者と読者、両者の想像力の柱で成り立つものだと思います。ところが、いくらこっちが
想像力を逞しくしてもどうも作者の思い描いたモノがなんなのか判然としない。もっと作者の想像した物語を文章に
してくれたら、と思いました。


怖い話コピペのそれですね。オカ板でありがちな怪談話、寺生まれのTさんイズムを感じました。お題の「ONE」
が、とってつけたような対心霊現象特別部隊の通称になって消化されているという点が個人的なツボ。


ゴミ


小説は出だし9割などと言われますが、この作品の出だしだと、歳月や、とりわけ「二十年」が物語のキーになるの
かな、と思いました(実際はそうでもないかも)。普通に読むことの出来る佳作だと思いました。強いて何か文句を
つけるなら、「ONE」というお題とはあえて繋げなくても良かったんじゃないかなと。「0から1へ」あたりの文章
からふわっとしだしている印象を受けました。といっても私の難癖ですよ。

残りはいつか
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html

こういう作品を読んだときにまず思うのは、どれだけ考えて書いているのかということ。
思考をただ垂れ流しているだけなのか、それとも一つ一つに意味があるのか、判断するのはとても難しいです。
あんまりタイトルと内容がマッチしていない気がするんだよな……
文字数12345は狙って書かれたのだろうか。

No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html

私の作品。これ、出した次の日にちょう後悔しました。
書いているうちに疲労感で頭の中がぐちゃぐちゃになってきて、無理矢理完成させて、「ええい、いいや出しちゃえー」と思って出しちゃったんですね。
まだ一週間ぐらい時間があったのだから、もう少し粘っても……

No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html

「アリケルエラスメネス」←こういう自分が知らない言葉に出会ったときにググる癖をなくしたい。
「ぼくね、今日から小学校にいくだよ」の「いくだよ」は脱字なのか、そうではないのか。
くーたん……
最後に全部繋がっていたら面白かったんですけど、そうじゃなさそうっぽいのが少し残念です。
個人的には3の話なんですけど、思考的にはちょっと『無い』気がするんですね。
自分でプラスチックの彼と言うところとか、実体はないけれどと言うところとか。
どうしても異常者を演じているようにしか見えないのです。
そういう設定だとしたらアリといったらアリなんですけど。

No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html

真・剣・に書け!
思わずそう心の中で叫んだ作品。少し笑ったけど。
一本杉も光線銃で爆発させてくれよ。
一本杉を恐れる冒頭とラストが矛盾している気がするけど、そういうのに突っ込むのは野暮なのかな。

No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html

いや、頑張れよ(´・_・`)
最後そういう思考に陥る人見ると悲しくなってくるわ……
一度断られた本屋に毎日行くってすごい根性あると思うんですよね。報われてほしいです。
個人的には、主人公をもうちょっと能動的にしてもらわないと読む方としては苦しいと思いました。

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html

なかなか評価しにくい作品です。
読んでいると文章がうまくて、思わず関心票ぐらいは入れたくなってしまうのだけど。
というかつい先ほどまで入れる気でいたのだけど。あらためて振り返ってみると、どうも……うーん。
まず読んでいて違和感に残ったのが、エリナ覚醒時の描写なんですね。
変節が突然すぎる。
私が思うに人の変節には段階があって、AからBに変わるまでには中間であるABの状態が存在するはずなんですよ。
悪口言われてからしばらく放っとかれるとトラウマになるんですよ、って「ほんまでっか」で澤口という人が言ってたと思うけど、
逆に言えばトラウマになるまでには少しの時間的猶予があるわけで。
この作品からはあまりそういう部分が感じられなかった。
あと、彼女がうまく体を動かせない原因である「心理的な」問題に対して、「私の中で何かがカチリと音を立てて組みあがった」
という解決はなんだか違う気がするんだよな。肉体的な方向に問題が変わっている気がする。
そういった意味で、作者に力はあると思うんですけど作品としてはあまり押せないんですよね。

No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html

うーん、これは……
私が作者の意図をうまく読み取れていない可能性があるな。
No.01もそうなのだけど、こういう作品はただ雰囲気に任せて読めばいいのかどうなのか……
翻訳がなー。
最も気になったのは、作品の内容よりも翻訳に対する作者の考え方だったりするんですね。
私翻訳家じゃないから本当のところは分からないけれど、本当にこんなこと考えていたりするのかなと。
もっともっと、うまく翻訳できない(なかった)ことについて悩むんじゃないかなと。
なお、ラストシーンはとても印象的でした。

No.08 Black Swan Song(木下季香)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html

はい優勝。おめでとうございます。まあ私の一存じゃ決められないけどね(´・_・`)
ぶっちゃけ本音を言うと、気に入らないところはあったよ。
妹が本当はできる子なのに、できない子に見せているところとか。人間的に嫌い。
けどねー……なんかそういうのを超えたところにこの作品の良いところはあったな。
盲目の少女に感化されるシーンが間違いなくこの作品のハイライトなのだが、その後も新たな見せ場があるところが大好き。
いったい過去にどんな作品書いていた人なんだって見返してみると、へー、あの人だったのかー。
腕を上げたな。しゃれにならんくらい。いや、前から文章はうまかったけど。ひとつ壁を越えた感がある。
私も越えてえ。

No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg
http://text-poi.net/post/ksatokiti/1.html

さて、いま話題の問題作。
なんというかこれはもったいないな。
他の人も言ってたけど、中盤以降はすらすら読めるのに前半がもったいない。
あとミューがニューとかツグムがツムグとか誤字脱字が多く目立って、せっかくこんなにたくさん書いたのにもったいないよ。うん。
個人的にラストはあまり好きじゃないけど、話としてはよくできているんだよな。
ルクルと兄は最初は嫌いだったのだけど、最後のほうは好感が持てるようになって。
けど乾きやサボテンの表現が連発で、そういうところもやっぱり勿体ない気がしました。
ぶっちゃけ最初のほうマウスとかディスプレイとかボカす必要ないと思ったし。
なんか心がけ次第でいくらでも救えそうな勿体なさなんだよな。
勿体なし。

No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/7.html

この作品、てきすとぽいでは No.08 の下に来てしまっているんですけど(というか私がそうしてしまったんですけど)、
ちょっと順番が悪かったかなと思いました。
悪くないんだけど、No.08 と比べるとパンチ力に欠けている気がして、どうしても見比べてしまう。
とはいえ最後のほうは完全にこの作品の世界に浸れていたから、やっぱりちゃんと書けている作品なんだな。
ただ、ユキノとヤエノミヤの関係を「そういう設定」として見てしまっているところがあって、そこをなんとか。
もう少し説得力のある描写があると印象が違ってきたのかなあと。

No.11 (時間外作品)身の回りの世界で(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/8.html

たどり着きました、最後まで。
No.02 で後悔した私が別視点でもう一度書き直そうとした作品。
本当は時間内に間に合わせるつもりだったけど、間に合わなかったよ!
しかも最初の感想をもらって即反省……
そして実はその後にもう一度後悔という、後悔に後悔しっぱなしの品評会でした。
以前ある小説で、最後まで結末を書かない方がいいっていう話を読んだことがあって。
どうも最近それにとらわれすぎている気がしました。
また一から出直しだなぁ。

***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.08 Black Swan Song(木下季香)
気になった作品:No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg
********************************************************

印象に残った作品ほど感想が多くなっています。そういう意味で、うわ、こいつロクでもないこと書いてるなーと思うものがあっても許してください。
今回「one」というお題を出させてもらったんですけど、はっきりいってこれは失敗でしたね……
どうしても題材が「ひとり」になってしまうんだよなあ。
モウリーニョの名言を出したけど、結果的にあれも絞り込みを加速させてしまったかなあと。
本当に今回の品評会は反省しっぱなしだ!
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)

この作品の冒頭に目を通した時に、私は思わず引き込まれました。
そして私にとってこの小説は、品評会における批評云々を抜きにして、とても好みの小説となりました。ラブです。

まず、この読んでいるとたちまち酔ってしまいそうな程に饒舌な文体。
サリンジャー、或いはサリンジャーに影響を受けたと思われる人たちを彷彿とさせます。
もちろんそれは文体の話であり、作品としてはSF要素を取り入れた文学的作品だと思うのですが。
しかし、このいつまでも終わることの無いような予感を覚えさせる軽妙な文体。これは非常に私の好みです。もう文体だけで百点満点です。
などと言ってしまうと他の作品への差別になってしまうし、平等な評価ではなくなってしまうので(私としては出来るだけ平等に評価をしたいのです)
なるべく好みとは切り離して、この小説の分析(の真似事)を試み、そして批評を書いて行こうかと思います。

SF系の書き手だと聞いて納得。自分の知っている範囲の知識で申し訳ないのですが、
円城塔さんが書くような、言葉によって思考の構築を試み、世界の在り方を言葉で構成し、そして遊び心を加えながら、
小説という文章の数式を完成させていく、まさに理解できそうで理解できない、実験的(と評してしまったら失礼でしょう
か)な作品だと感じました。
と言っても私は普段、本格SFは読みません。円城塔さんにしても、文學界に載っている幾つかの作品に目を通したことがあ
る程度です。
しかし、この一見すると不可解な、抽象をこの世のものとして具現化しようとする発想は、SF作家的文章なのだと感じました。

或いは、【3】段落目なんかは文学詩における散文詩にも似ているのではないかと私は感じます。
若手の文学系詩人(という言葉があるのでしょうか?)の作品や、文学極道というサイトで投稿される詩の如く、自由な発想で、
既存のルールに縛られない言葉の並びや使い方、文の構成の仕方で、一つの作品を作ることを試みる。
このような作品は私にとってやはり面白く、普遍的な試みによる小説的面白さの欠乏がある作品や、つまらないアイデアを
だらだら並べ立てた小説、ただ奇抜なだけの幼稚な発想などより、
どうしようもなく心を惹かれてしまう。と言うよりも、どちらかと言うと、この作品はエンターテイメントとして読むより、
文学的な実験作品として(そして前衛的な文学作品がそうであるように、この作品にも、正解の解釈はないと思う)、作者
が思うとおりの成功を収めていると私は思います。


文体としては(すみません、もう一度語らせていただきます)、西尾維新さんや佐藤友哉さんなどのミステリ系エンターテ
イメントの方々も思い浮かびました。
もちろん作者がこれらの作家に影響を受けているかまでは分からないのですが、今挙げたお二方の様に、自分の思考をすら
すらと喋るような文体だと思います。
人間の思考というものは恐らく、このように揺らぎながら常に変化していくもので、そのあたりのリアルさを私は感じました。
思いついた言葉をそのまま表記することによって、それが小説として構成されていく実験。とでもいえばいいのでしょうか。
失敗しているか成功しているのかは読み手によって変わると思います。私はひとまず、そのような目的で成功はしている文
章なのだと思います。

絶え間なく思考する人間の、思考の揺らぎ、言葉が定まらぬうちに次の思考に移ると言う思考の一面を、
作者が意識して書いたかどうかはわかりませんが、しっかり表せていると私は思いました。

本を読んでいる人間の、抽象的なイメージを具現化した作品。まあ、作品の主題は恐らくこれなのでしょうが、饒舌な文体が心地よく、
本に浸っている人間の脳という部分を書いた、面白い作品だと思います。

一つだけ惜しいなと感じた部分は、小説における”フック”が無いこと。
読者の心をひっかけるような明確なテーマ(付け焼刃的でないもの)、或いは描写、場面。それが一瞬でも現れれば、
この小説はもっと化けると思います。
もっと広く読者の心に残る作品になると思います。

お題に則しているかという点では、お題が抽象的なものであるため、このような解釈でも問題ないと個人的には感じました。


No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)

うーん……評価の難しい小説です。
荒を探してしまえば色々と出てきそうなのですが、書きたいことはちゃんと伝わってくるという、しっかりした形になって
いる作品……。
物語の核はしっかりあるが、その肉づけが薄く、味気ないと言う印象を抱いた作品でした。

とりあえず気になった点を以下に書かさせていただきます。

まず
>>以前まで写真に興味のなかった私が、急に興味を持ち始めたこと。雨であるにもかかわらず、わざわざ夜に散歩しに外へ
出かけたこと。
>>公園に足を踏み入れたこと。どれもが自分の認識する自分とは異なっていて

物語のきっかけとなる大事なこの部分の説明が、最後まで明確になされていないような気がしました。
この描写における主人公の動機、あるいは主人公が異常な思考へと変わってしまった理由を説明しないと、
主人公がどうして正常な思考から足を踏み外していったのか、と言うのが分からないと感じました。
もちろん、あえて不気味さを演出するためにそうした可能性もありますから、そうした方がいい! と私も強く言うことが
出来ないのですが、しかしこの部分は少しモヤモヤする点でした。

次に >>あのスマホには、絶対に他人には知られたくないデータが入っていた。もし知られたら、自[ピーーー]るしかなくなって
しまう――

この部分。
多分、読者に想像を促していると思われる描写。最後まで謎は明かされない(もしかしたら私が気付かなかっただけで明か
されていたのかもしれません)。
物語における重要な謎として受け取ったのですが、しかし最後まで読んでも、結局この描写の意味するところが分かりませんでした……。
どうしても、主人子がのっぺらぼうのいる場所へ戻るための道具として出された感が否めないのです……うーん。
私の勘違いか、読解力のなさのせいもあると思うので(時々、壮絶なる変な読み方をしてしまう時があるのです)作者さん
の考えがあるのならば、教えて頂きたいです。
主人公が子供を誘拐すること(背徳行為へと落ちていくこと)を示唆する布石でしょうか。
それとも他にも子供がいたと言う事なのでしょうか。
今一つ、この描写の意味するところが読み取れませんでした。物語的に、重大な感じがする書かれ方をしてるのですが……。

その辺が気になりつつ、最後まで読んでみました。
そうしてみると、この作品におけるテーマは【自分よりも弱い者に依存しようとする、孤独な女性の不安定さ】だと解釈し
ました。

オチでは、自分が依存していた者が地位を得て、そしてまた一人になってしまう。主人公自身も老いてしまって、女性とし
ての尊厳も失われていく。
何と言うか、子供を勝手に攫って依存した(あるいは依存させた)という事への報いを感じさせる、勧善懲悪的な着地な仕方だと感じました。

この辺は、以前から書かれているほげおさん的テーマがぶれていない感じがして、とても良いと思いました。
背徳に身を任せて孤独になる、というのを瑞々しい世界観で書ける人だと思いますので。

しかしながら、人物の造形の仕方や、会話、人がのっぺらぼうに見えると言う比喩も、少し定型形の様な気がして、モヤっとしました。
ほげおさんが絶好調な時は、とても瑞々しい比喩をされる方なので、少し今回は疲れていたのかな、という勝手な印象を受けました。すみません。

物語のテーマはしっかりと感じますし、書きたいことも理解できる。
ただ、その物語の道筋が少し、ストレートに行き過ぎなのではないかと言う気がしました。
女性が狂ってしまったきっかけとなる描写、回想、そのような場面が挟まれていれば、惹きこまれたような気がします。
あるいはその女性の過去、心の深い部分、を読んでみたかったです。

良い部分と悪い部分が、奇妙に同居している小説だと思います。
その点で、どう評価したらいいのか、私は少し悩んでしまいました。
後半の文体も、描写が淡々としすぎているような気もします。

厳しいことを書いてしまいましたが(お気を悪くされたらすみません)、しかし良い時のあなたを知っている分だけ、
この小説に落差を感じて、あまりいい評価が与えられませんでした。


No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)

私もよく、文章を書き始めた時にこのような作品をたくさん書いていました。
小説の形態と言うよりは、散文詩的、頭の中の設定やシチュエーション、比喩を書き出し、そして構築を試みるタイプ。
私は前から思っていたのですが、犬木さんは詩人的な方だと思うのです。草食系的な詩に近い形態を好む人だと思うのです。
ホープノーマルしかり前回の作品しかり。品評会では評価が得にくいと思いますが、しかし自分の勝負できる作風があると
言うのはとても素晴らしいと思います。
この作品は小説観だけを持ち出して評価するのは少し違うと思うので、
純粋に文章と表現を見て、批評を書いて行こうかなと思います。

それぞれの設定や着眼点……というよりモチーフとなるアイデアは素晴らしいと思います。
しかし、そこに読者の心を驚かせよう、揺さぶろう、裏をかこうと言う、変な言い方をすれば『ズルさ』がない。
巧い書き手と言うのは(もちろん私はまだまだそこに到達していませんが)、優しい世界を書いていても、
このような『ズルさ』、読者を驚かせようと言う試みが入っているものです。
それを加えられたら(言うは易し、しかし実際には難しい、私も挑戦し続けています)、この文章はもっと良くなるように
思いました。

それと文体。恐らくそれぞれの場面で違う人物なのだろうと思うのですが、それぞれの一人称をもう少し工夫したら
作品に面白さが出たのではないかと感じました。それぞれに差異がなく、人間性が深く表せていない気がします。
最後に出てくる人物が書いていると言う設定なのでしょうが、ただ描写が羅列されているだけで、そこに主張があまり感じられませんでした。

しかしながら、この作品を読んでいて可能性を感じさせるアイデアがたくさんありました。
例えば場面2や場面3、5など、人間の暗部を予感させるアイデア(人形に依存する、異性の人形を買う等)があるので、
その病んだ面をしっかり誤魔化さずに書けると、と言うよりも格好つけずに書ければ、もっと深みが出るような気がします。
と、無責任に書きましたが、犬木さんの作風で汚いことに挑戦すると言うのは、ある意味では諸刃の剣かも知れません。
あまり私のアドバイスを気にせず、参考程度にお受け取りください。

一つ一つのアイデアは面白いと思ったのですが、その一つ一つ、あるいはどれかを、もっと深く掘り下げて見てほしいと
誠に勝手ながら感じました。

あと、お題への結びつきが弱かったです。そこが弱点となってしまうのは惜しいと感じました。



No.04 一本杉(茶屋)


【洒落にならない怖い話】ではなしに、【洒落になる怖い話】。

文章はかなり読みやすく感じました。
余計な装飾のない文体で、淡々と語られる物語は、読者を引き込むのに適していたと思います。
怖い話と言うのは、どうも怖がらせようという意識が働いて、変におどろおどろしい文体になってしまいがちですが、
作者さんはその辺のバランスが巧く、変に驚かせようとせずに語りを進めていたので、引きこまれるように読ませていただきました。

そして恐らく評価が分かれるのは、この奇抜なオチなのでしょう。
メフィスト賞作家の方々を思い出します。ぶっ飛んだオチです。
私は個人的にとても好きで「ぶっ飛んでるなあ」と思いながら好意を持ってしまうのですが
しかし投票するのにこの小説を推せるか、と言ったら考え込んでしまいます。

もっと強烈な爆発を感じてしまいたいと、心の中でもやもやとした気持ちが残ってしまいました。

ストレートに怖い話で終わらせたくなかった作者さんの意図は感じられたのですが、
うーん、やっぱり小学生的なぶっ飛んだオチと言うのが、ちょっと安易じゃないのかと思ってしまいます。
すごく好きなんですけどね。

小説とは関係ないですけど、大喜利をやってる時のホリケンさんとかを思い出します。
でも、ぶっ飛んだオチで勝負するのならば、もっとこちらを木端微塵にするぐらいの爆発力が欲しかったです。
もっと根底から度肝を抜くぶっ飛んだオチがあったらと、そう思ってしまいました。

しかしショートショートとして読むと、王道な感じで、上手い構成だなあと感じます。
でもまだまだ圧倒的にインパクトが足りないし、巧いと思わせるオチでもないのが残念でした。



No.05 もう、一人でいいから(すずきり)

本作を読み終わり、この作者はこの作品で何を述べたかったのだろうかと考えた時に、
【自分の心境や感覚を共有する相手のいない、自意識だけが肥大した孤独な女性】を書きたかったのだろうと、私は勝手に推測しました。
No.2と大まかなテーマとしては一致しているような気もします。

電車内でスマホばかりを弄る人、愛想がよく外見に気を遣っている自分とは正反対の先輩(異性)
化粧のできない自分、垢抜けてしまったかつての同類、そのような人物対比、というかアイデアは面白いし上手いと感じました。

あと個人的な感想なのですが、宗教(あるいは自己啓発セミナー?)の怖さが書かれていないため、
リナちゃんがただ宗教を勧めてくる勧誘員のようになってしまっていて、今のリナちゃんの人間性が描かれていないのが
残念に思いました。

他の人も書いていましたが、その宗教の恐ろしい面、怪しい面、あるいはリナちゃんが
マインドコントロールされている描写と言うのがないと、何と言うか、
主人公が感じる社会の(あるいは人間関係の)面倒くささと言うのが深く伝わらないと思うんです。

それに、ただ批判されるべき記号として簡単に宗教を出したみたいに見えて、
あるいはとても糾弾されることになるかもしれません。まあ、そんなうるさい事を言う人なんてほとんどいないと思うんですけどね。

ただやはり、そうですね……。
リナちゃんがマインドコントロールされているんだな、としっかりわかる描写が欲しいと感じました。
もしくは、主人公が宗教セミナーに参加し、そのセミナー独特の気持ち悪さをしっかり描写してしまうとか。

物語としては、社交性のないまま大人になった女性が、結局そのまま一人で生きていくことを決意した。
いわゆる【社会の中で生きているマイノリティーな人間の苦しみ】的作品だと思います。どちらかと言うと文学系。

だとすれば、もう少しその主人公の孤独を踏み込んで書くか、
あるいは宗教的マインドコントロールの恐ろしさの方を主題にしても面白かったんじゃないかなと、
個人的に思ってしまいました。

文章は読みやすく、とても上手だと思いました。
人物造形はありがちながらも、変に奇をてらっていなくていいと思います。



No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q

他の方も仰られている通り、文章がとても上手でした。
しっかりと海外作品風(翻訳調)の文体を作りだし、淀みなく最後まで書けていると感じました。
そして物語も面白く、最後まで飽きることなく読むことが出来ました。

小説としての完成度は、かなり高かったのではないかと思います。


しかし一方で、>>――落ちていく瞬間、私の中で何かがカチリと音を立てて組みあがった。

ここがやはり唐突で、ご都合主義と言わざるを得ない感じがしました。ここまでの流れが素晴らしいだけに、
この描写が唐突に現れたことで違和感を覚え、戸惑いました。

そのような都合の良い奇跡が、人間の身に唐突に、しかも抜群のタイミングで起こる事なんてまずあり得ません。
もしそのような奇跡を描くのならば、それを読者に納得させるだけの密度の高い描写をするか、
それとも奇跡が起こるまでの予感を感じさせる、身の変化を読者に気づかせるような描写を事前にしておくべきだと感じました。

物語における奇跡というのは、やはり読者に納得してもらわなければいけません。
それは本来、現実ではありえない事なのですから。
失敗してしまうとご都合的展開だと揶揄され、作品を傷つけかねない諸刃の剣だと思います。
もちろん私も、奇跡をうまく描写することは出来ていません。使いたくなりがちですが、やはり難しいです。

更にこのエリナの体が正常になる描写、それが唐突にエリナが語ったという回想描写として現れるので、
読む際に引っかかってしまいます。
主人公の視点で描写してから、後にエリナはこう語った――とすると自然になるのかなと感じてしまいました。

と、偉そうな事を言ってしまいましたが、この部分以外がとても魅力的で完成度が高いだけに、
一番の見せ場で違和感を覚えさせるのは惜しいなと、どうしても感じてしまったのです。

それくらい上手な文章、構成だったと思います。素晴らしい作品でした。



No.07 ノスタルジックの船よ、沈め


実を言うと、自作です。

とあるアメリカの新人小説家であるお二方の小説を読み、「この人たち凄いっ!」と唸らされ、
自分もそんな作品を書いてみたいと思い創った作品です。

故に、品評会で見てもらうために書いた、と言うよりは、
自分の好きなものを好きなように書くという趣旨のもとで書かれた作品です。
品評会で勝てる作品ではないな、と思いながらも、どのような評価がされるのだろうとワクワクしながら投稿した、
そんな実験的作品でした。

この作品及び今回品評会に参加した理由は、No.1さんの作品を見て、これはすごいなと思わされ、今回は品評会に参加して、
自分を高めるためにこの人と競い合ってみようと思い、この作品を書き始めたのです。

当初、全くアイデアが出ずに、とりあえず好きなものを書いて、その後でちゃんとしたものを書こうと思い、
こんな摩訶不思議な作品が出来上がりました。
影響を受けた二人の作家さんも、詩的で不思議な世界観の小説を書いている人だったので。
もちろん私とは比べ物にならないくらいに、すごい想像力と技術で書かれています、私が影響を受けた方たちは。

ちなみに、この小説がちょっと奇抜すぎるのと、二作連続で同じトリップの人が投稿したらうざいかなと思い、
いつも使っているトリップとは別で投稿させて頂きました。
いつも使ってるトリップだと、知っている人からすれば、「また変な作品書いて来たな」と思われそうでしたので、
色眼鏡なしで(私を知っている人がいるかどうかも分からないですが)どのような評価を受けるのかと、挑戦した作品で御座います。

ほげおさんにはお手数をかけてしまい申し訳ありません。転載ありがとうございました。本当、ごめんなさいっ!



No.08 Black Swan Song

いつものトリップで投稿しました、自作です。

書いている途中で、あまりにも普遍的すぎないか、長すぎて話がたるまないか、と不安になっていたのを覚えています。
書き始める前に、簡単にプロットを作り、構成に力を入れて書いた作品です。
吉田修一さんのような、構成が上手い小説を目指して、この作品を書き始めました。

書き終わって投稿した後も、この小説が皆様にどのような評価を受けるのかドキドキして過していました。
もっと読みやすく書くことが出来たのではないかと、文体が気になってしまって……。
いつもとは違い、文体よりも構成に力を入れたので……どうなるのだろうなあ、と。

それと、書いた後にふと思い出したのですが、
私が小学生の頃、学年の離れたクラスに、双子の兄弟がいました。
彼らは一卵性双生児であり、顔では見分けがつきません。性格もまったく一緒、声も一緒、
それが当時の私にとって、とても不思議に感じたのです。

彼らが高校を卒業したある日の事。
私は高校に入ったばかりで、彼らの存在など忘れて新たな友達を作り、過していました。
学年が離れていたこともあり、あまり接点もなかったのです。
そんな双子の情報が耳に入ったのは、恐らく夏頃だったと思います。
仕事から帰ってきた母が、〇〇くん(双子の弟の方)が、警察に逮捕されたらしいよ、と教えてくれたのです。

私は驚きました。いつも明るく皆の人気者だった彼が、なんで逮捕されたのだろうと。
母が言うところによると、暴行で逮捕された、との事でした。

更に二人の近況を、母が続けて話してくれました。
双子の兄の方は有名大学に行き、好きな事を学んでいるそうで、
弟の方は高校を卒業した後働きに出て、今回暴力事件を起こしてしまったらしいのです。

一体全体、全く同じに見えた二人が、なぜこうもそれぞれ変わってしまったのか。
どこの時点で二人は別々の方向に向かい始めたのか。私には不思議に感じました。
書いている途中に思い出したわけではありませんが、書き終わってしばらくした後に、
その二人の事を思い出していました。

――私は双子=二人という認識で彼らに接している。しかし彼らはやはり、それぞれ一人の人間であり、
それぞれの人格を持っているのだ。
彼らは外見が同じというだけの、まったく別々の人間である。

その考えは、書き始めた時から自然と浮かび、この小説のテーマとして持ちだされたものでした。
そのテーマが、自分なりになんとか書けて、ほっとしています。



No.09 (文章量超過) アイドル「兄は私のマネージャー」 ◆1ImvWBFMVg[


登場人物の関係性を丁寧に書いたエンターテイメント作品。他の方が言われている通り、
序盤の文章が不安定だと感じました。
色々と気になる部分が多く、物語の中に入りにくかったです。

それと最初の方の文中にある、『身を固めて』の誤用も気になりました。
意図は分かるのですが、そこはあえて身を固めると言う凝った表現を使わずに、
『留まって』などの表現でよかったように思います。
このような微妙な違和を感じさせる文章が時々出てきて、その度に読むのが止まってしまいました。
なんかうるさくいう奴ですみません……。


序盤の展開でも気になることがありました。一番最初の場面。あそこはいきなり書くべき場面だったでしょうか?
ガラスの向こうとこちら側(非現実側)と言うことを強調したかったと思うのですが、読者としては混乱してしまいます。
三人の関係をミステリアスに演出しているのでしょうが、正直に言うと、ここがあまり機能していなかったように思えてならないです。
男がゲームを始める場面からでもよかったように思えてしまいます。その後で、ミュー(ニュー?)とルクルの会話を入れれば、
流れとして綺麗に見えた気がします。

その他、人物の名前が安定していない(ニュー→ミュー等)、段落の最初が空けられていない、『ふいに突然』など日本語として変な文章がある
などいろいろと気になることはありましたが、しかしこの作品が、一番読者を楽しませようとして苦労して書かれた作品なのが分かりました。
作者の力の入れようが伝わってきます。
悩みながら(あるいは楽しみながら?)時間をかけて作られた作品なのでしょう。
それだけで、もう評価に値するのだと思います。

設定としては、ライトノベルやギャルゲー、小説家になろうなどで書かれていそうな、不思議な設定のエンターテイメントだと思います。
指摘すべき穴は結構あるように思いますが、最後までしっかり物語を書き、丁寧に描写を続け、最後まで書ききったのはとてもすごいです。

この作品においては野暮なことは言わず、楽しめるか楽しめないか、それに尽きると思います。

が、最後に一つだけ野暮な事を言うのならば、お題にそっていないような気がしてなりません。
以前本スレ>>419で出された【女子アイドル『兄は私のマネージャー』】をお題として書かれた作品であるような気がします。
まあ、【one】を感じさせるような描写もなくはないですが……。この品評会に出すべき作品だったのか、疑問を感じます。

と意地の悪いケチをつけてしまいましたが、一番力を入れて書かれた作品であるように思うので、このレス数にはやはり賞賛します。
まさに問題作でありながら力作だと思います!


No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.

読んでいて切なくなりました。書き方が上手かったです。
最後の辺りが少しわかりにくかったです。と言うよりも、ミズカの抱える闇が今ひとつわからなかったです。
恐らく私の読解力(および想像力)が足りないのだと思います。
しかし作品の雰囲気や書き方は、今回の品評会の中で一番好きでした。

恐らく読み手である私たちが、二人の関係を、そしてそれぞれが抱える思いを想像することによって、映える作品なのだと思います。
読み手によって評価は分かれそうな気がします。彼女たちの抱える複雑な思いが、もう少し見えればいいのに、と私は思ってしまった。
なんだかこの作品に妙に惹かれた。心を動かされた。それは確かです。



No.11 (時間外作品)身の回りの世界で

No.2の作品よりも、文章が安定している印象を受けました。
この小説の後半、前回のような短い描写を書き繋げていく文章から、一つ一つの心情を掘り下げようとする文章になっていて、
良くなっているように感じました。
以前の『のっぺらぼう』というメタファーを持ち出すよりも、自然に母親との回想が入っていることで、主人公の人間性が少し見えた気がします。

ただやはり、子供を拾って育てると言うことは大変なので、その辺の葛藤なり、親となった自分の心情や、
かつての母の心情を想像するなりがあったらなあ、となんとなく思ってしまいました。

ラストシーンについては、人間などそう簡単に変わることが出来ない、というメッセージが込められている風に私には思えたので、
これはこれでいい終わり方なのだと思います。
結局は主人公にダメな部分があり、そこを直せずに、また元の孤独に戻ってしまう。大人になった人間がそう簡単に変わることなど出来ないのだ、という主張に感じました。
孤独に戻る場面と言うのは作者さんが書きたかったことだろうし、これはこれできっちり成功していると私は感じました。

たとえどんな人間と出逢おうが、本質的な問題を解決しなければ、人は心から変わることなど出来ない――
私にはそんな叫びが聴き取れたような気がして、わりと好きなのです。
それが意識的に書かれたものなのか無意識に書かれたものなのか分かりませんが、
駄目な人が、陳腐な創作の様に、簡単に心を入れ替えて人生が変わるだなんて、それは嘘っぽいですし、物語に対して正直ではないです。
作者さん的には後悔はあるのでしょうが、この作品はこの作品のままでいいのだと私は思います。

そしてできれば、主人公の問題の本質、という部分を少し踏み込んで書いてほしかったと感じました。


No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg.

読んでいて切なくなりました。書き方が上手かったです。
最後の辺りが少しわかりにくかったです。と言うよりも、ミズカの抱える闇が今ひとつわからなかったです。
恐らく私の読解力(および想像力)が足りないのだと思います。
しかし作品の雰囲気や書き方は、今回の品評会の中で一番好きでした。

恐らく読み手である私たちが、二人の関係を、そしてそれぞれが抱える思いを想像することによって、映える作品なのだと思います。
読み手によって評価は分かれそうな気がします。彼女たちの抱える複雑な思いが、もう少し見えればいいのに、と私は思ってしまった。
なんだかこの作品に妙に惹かれた。心を動かされた。それは確かです。



No.11 (時間外作品)身の回りの世界で

No.2の作品よりも、文章が安定している印象を受けました。
この小説の後半、前回のような短い描写を書き繋げていく文章から、一つ一つの心情を掘り下げようとする文章になっていて、
良くなっているように感じました。
以前の『のっぺらぼう』というメタファーを持ち出すよりも、自然に母親との回想が入っていることで、主人公の人間性が少し見えた気がします。

ただやはり、子供を拾って育てると言うことは大変なので、その辺の葛藤なり、親となった自分の心情や、
かつての母の心情を想像するなりがあったらなあ、となんとなく思ってしまいました。

ラストシーンについては、人間などそう簡単に変わることが出来ない、というメッセージが込められている風に私には思えたので、
これはこれでいい終わり方なのだと思います。
結局は主人公にダメな部分があり、そこを直せずに、また元の孤独に戻ってしまう。大人になった人間がそう簡単に変わることなど出来ないのだ、という主張に感じました。
孤独に戻る場面と言うのは作者さんが書きたかったことだろうし、これはこれできっちり成功していると私は感じました。

たとえどんな人間と出逢おうが、本質的な問題を解決しなければ、人は心から変わることなど出来ない――
私にはそんな叫びが聴き取れたような気がして、わりと好きなのです。
それが意識的に書かれたものなのか無意識に書かれたものなのか分かりませんが、
駄目な人が、陳腐な創作の様に、簡単に心を入れ替えて人生が変わるだなんて、それは嘘っぽいですし、物語に対して正直ではないです。
作者さん的には後悔はあるのでしょうが、この作品はこの作品のままでいいのだと私は思います。

そしてできれば、主人公の問題の本質、という部分を少し踏み込んで書いてほしかったと感じました。


投票する際に、N0.1とNo.6どちらに投票すべきか相当悩みました。
いっそのこと両方に投票しようかなとも思いましたが、やはり一つに決めるべきかどうかを思い、最終的にこのような結果に決めました。

***********************【投票用紙】***********************

 【投票】:No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q氏

       物語の構成力とリーダビリティという点を重視して考え、No.6に投票します。   
       読んでいく中で、一番物語に引き込まれ、心地よさを味わうことが出来た小説でした。
       今回の品評会の中では、小説としての完成度が一番だったと思います。
一つ欠点をあげるとすれば、お題の扱い方に疑問を持ちました。『one』への持っていき方が、無理やり繋げたような印象を受けるのです。
       もちろん、『one』を上手く使えなんてルールはないですから、これはこれで良いのだと思います。
       私にとってはこの小説が一番でした。  

     :No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)

       散々悩みましたが、やはりNo.1も投票させていただきます。
       一つの作品しか投票しないと決めていたのですが、やはりこの作品を関心票で済ませてしまうのは個人的に惜しい。
       実験的な作品でありながら、ここまで読ますことが出来るのは、評価に値すると思うのです。
       ずば抜けた一つのアイデアや表現こそなかったが、饒舌な文体での抽象的思考の構築は、やはり読んでいてクセになりました。
       最初はNo.6だけに投票しようかと思ったのですが、こういう実験的な作品が品評会では評価されにくい事を考え、
       ならば自分が推そうと思い、最終的にこの作品の投票に至りました。



 【関心票】(気になった作品)

      :No.10 (時間外作品) ブラック・アウト ◆xaKEfJYwg

        単純に読みやすく、物語に惹きこまれました。
        これが時間内に来ていたら、恐らく投票する際に、三つ巴の戦いになっていたと思います。
        どれに投票するか余計に悩んでいた事でしょう。次回は、ぜひ時間内に間に合わせて、優勝争いに食い込んでください。
         
      :No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)

        上記の作品よりも、何歩か劣る印象だったけれど、これからどう進化していくのか気になりました。
        世界観や、一つ一つのアイデアは、作者の中で完璧にイメージできており、出来上がっていると思います。
        あとはそれをしっかりと読者に伝える技術なり、リーダビリティがあれば、大いに化ける作者さんだと感じました。
        技術的に未熟さを感じさせるけれど、これからに大いに期待したいと言う意味で、気になった作品にあげさせていただきます。

********************************************************



  【総評】

今回はレベルの高い作品が多かったように思います。
いつもよりも多くの投票や関心票を入れていました。
上位三つの作品はそれぞれに良い部分があり、本当にどれに投票すべきかを悩みました。

お題については、かなり難しかったと思います。
もちろん難しいことが悪いわけではありません。それこそ腕の見せ所な気がします。
が、やはりお題に則りながら、それでいて読んで面白い小説を書くと言うのは、大変難しいことなのだと実感しました。

そんなお題にあっても、それぞれに個性のある、いろいろなタイプの小説が揃い、読んでいて楽しかったです。
ちなみに私も偉そうに批評など書いていますが、私の小説観は結構偏っているので、
偉そうな批評が書かれてあっても、話半分で笑い飛ばしてください。
その人にとって的外れなアドバイスになっていることもあると思います。

それと他の人も仰っていましたが、今回のお題のためか、確かに孤独や諦めをテーマにした小説が多かったような気がします。
どうしても『one=一人、一つ』というイメージが浮かびやすいのだと思います。
こういう品評会だと、他の人とアイデアが被ると言うこともありますので、小説の主題の選び方も難しいですね。

自分は二作品出しましたが、珍しく十作品を越える作品が集まって、盛り上がったと思います。
運営をしてくださった方、作品を投稿した方、感想を書いてくださった方々の全員に、心から感謝をしたいと思います。
皆様お疲れ様でした。
てきすとぽいと BNSK 本スレの投票を総合した結果、優勝は「No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q」に決まりました。
おめでとうございます!

今回参加された方、投票&感想いただけた方、本当にありがとうございました!
2014.06.09 00:55

おつかれさまでしたー。
◆Mulb7NIk.Qさんおめでとう!
次回こそは……勝ちたい……
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
[ コメント本文を表示する ]
No.01 たったひとつのぼくを求めて(小伏史央)
http://text-poi.net/post/u17_uina/30.html
なかなか評価するのが難しい小説。一度目を通し終わって、恐らくリチャード・バックの「ONE」を読んでいる主人公の心理世界を饒舌体で
描写しているんじゃないかな、とあたりをつけてみる。件の「ONE」は読んだことがないので、グーグル先生のお世話になり、あらすじを読む。
なるほどなるほど、と。どうも平行世界の話らしい。それから愛の話。「ONE」は素直な筋のある小説ではないのだろうか、どのサイトを眺めて
も、ストーリーの部分にはあまり触れられていない。それを念頭に置いて読み返してみる。するとどうもこれは、心理世界を描写しただけの
単純な話ではなさそうだ。
と、ここでいきなり話は変わるのだけれど、僕は以前にハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」に触発されて、その構成や
モチーフを借りた小説を書いたことがある。それをふと思い出してニヤリとした。そこでまあ、氏の書いた小説を読み込むためにはやはり「O
NE」というテキストが必要になるのだろうから、どうにも評価が難しい。でもまあ、そうはいっても手元に問題の本はないし、仕方がないので
予想をまじえながら再び読み進めてみる。
語り口はどうだろうか。饒舌であり、とりとめなく、要領を得ない。これも予想でしかないのだけれど、元となったテキストは恐らく明晰な文章
(つーかフツーの文体と置き換えようか)で、平行世界のありさまを描写してるのだろう。じゃあ、次の点。様々な平行世界を旅し、自分の元
いた世界に戻ろうとするという、大まかな話の流れは一致している。ふむ。だが、書こうとしているものは全然違うんだな、と比較してみて気
付く。そしてまたニヤリ。容器は一緒だけれど中身は全然違う、まさに僕が昔やったのと同じ試みだ。ちょっとしたシンパシーを覚える。
この小説はどこへ向かうのか。こういった物語に王道的な解釈を施すのは難しい。なぜなら、そこにある文章が「意図せず書かれている」
可能性があるからだ。意図せず書かれた文章、こいつはやっかないな言葉だ。あるいは目的のない実験。
まず一応、5・4の章、3・2の章がセットになっているのは見てとれる。で、5・4の連なりは元となったテキストに関してのオマージュ色が強い
ことに対し、3・2は「1」というキーワードに基づいた文章になっている。3は単語を「1つ」づつしか使用できないというルールに、2は二人の
ぼくの一人称を「一つ」の段落に収めるというルールに従っている。屋台骨だけは見えた。
リチャード・バックによる「ONE」には(読んでないけど)どうやら明確なテーマがあるみたいだ。読み手は、「愛について」だとか「運命について」
「人生について」、いろいろな意味で「ONE」という題名らしい小説だとレビューしてる。じゃあ、この小説はどうだろう。構造について分析は
してみた。が、とりとめない文体は物語そのものの意味を散逸させてしまっている。何がしたいのかは分かったが、何が言いたいのかは
分からなかったという状態。そういった状態に読み手が陥ってしまうと、やはり疑念が生じてしまう。これは意図をもたない文章、ナンセンス、
狐と狸の化かし合いといったものの類なんじゃないか、とね。
なんとなくではあるけれど、「自己愛」あるいは「自己嫌悪」についての小説なんじゃないかなという気はした。だけれど、気のせいかもしれ
ない。自信を持って判断するための材料がやはり少ない。読者を特定の目的地に導くための道標は、信用していいのかわからない(語り手
への信頼の欠如)、もしくは、何らかの形で秘匿されている(饒舌は多くの無意味の中に真意を埋めていく)。一連の流れの中で、重要そうに
見えるのは、世界から世界への移動方法だ。「1」以上に分裂した「ぼく」を殺すことによって、別の世界へ。死についても幾度となく作中で
触れられるし、博愛的だった「ぼく」が、他の「ぼく」に大して激しい憎悪を抱くといったような変化も起こる。なるほど、分かりやすい。分かり
やすすぎて、逆に解釈に困るほどだ。この線で追っかけていけばそれなりに「こじつけ」は出来るだろう。
だけどこれらの出来事は、重要そうに見えるだけで、作者の中ではそれほど重視されていないのかもしれない。やはり最初に生じた疑念
通りに、作者は何も考えていなくて、実はただ垂れ流しの文章をここに残しただけという可能性もある。
と、まあ、そういうわけで評価に困るんだよなあ。ただの文体練習じゃね、とか思っちゃったり。も少しヒントがあれば読みやすかったかもー。

No.02 あの日の真白なキャンバス(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/4.html
声に出して読んでみよう

No.03 ヒトリ・ヒストリ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/25.html
恐らくSFを齧った書き手なのだろう

No.04 一本杉(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/66.html
くだらねー、と思いつつちょっと笑ったよ

No.05 もう、一人でいいから(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/1.html
読みやすいね

No.06 THE ONE ◆Mulb7NIk.Q
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/5.html
自作

No.07 ノスタルジックの船よ、沈め ◆S6qZnfmn3/gR
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/6.html
好き。とーひょー

No.08 Black Swan Song(木下季香)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/1.html
上手い。かんしん
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