「ドラマじゃないんだからっ　
　そんな都合よく時計が止まるわけないでしょっ」 ...

こゆりちゃんちの皿は、皿同士が当たると、かばらかばらという音がする。
ちょっと厚手の陶器の音。 ...

小さな小さな劇団のアルバイトを見つけた。
アパートの近くに神社があってその奥にぼろいプレハブが建っていて ...

麻利絵。
子供が生まれるのはめでたいことだ。 ...

「あ。奥さんっ奥さんっ　田柄さんの奥さんっ」
頭の上から声が聞こえる。 ...

　「あれはブス」
「そお？けっこうかわいいじゃん」 ...

クスクスクスクスクスクスククスクス
「今日はどうする？」 ...

　朝起きて、鏡を見て「あ」と思う。
真紀子さんの顔は絵の具を塗ったように真っ青だ。 ...

「お母さん、そろそろまずいのかも」
と、従姉が言う。 ...

　中くらいの大きさのマンションの五階。
なにもない部屋の真ん中であなたと彼は向かい合い ...

「許す」
もし、そう言っていたなら、何か変わったろうか。 ...

ずっと腕立て伏せのかっこのまま
泣きじゃくる彼女を見下ろしていた。 ...

ぶわっ　じゅーっ　と音がして
アッと思った時にはガス台はお湯浸しに ...

　取調室は殺風景で窓に鉄の格子があって
四畳半くらいの部屋のまん真ん中に事務机があって ...

「前の会社の友達がさあ……」
「??え?」 ...

電車に乗っていると、おとなしく本を読んでいたラミアが
「おばあちゃん、今までで一番悲しかったことはなあに？」と聞く。 ...

写真のスイーツはどれも尋常ではないほど美味しそうだ。
抹茶のみどりが深くて、濃くて甘すぎない大人の味ですよと ...

水色のリボンが付いたうさぎのストラップがなくなったと言って
泣きじゃくり、何を言っても収まらない娘を前に悩んでいた。 ...

病室に着いたとき彼女はまだ眠っていた。
安らかに眠る彼女を僕はじっと見る。 ...

「冷やし中華が食べたい」
と、学校から帰るなり息子が言った。 ...

（お題：純愛/懊悩）
自分の居場所のたよりなさ。　 ...

午後10時30分
音もなく携帯が鳴る。 ...

「美桜ちゃんがいない！」
と、薫ちゃんが叫んだのはフードコートのテーブルに ...

　「叔母さん　いっしょに散歩行かない？」
35を過ぎて実家に戻ってから一ヶ月。毎日々、着替えもせず寝癖のついたままリビ...

ぴとん　ぴとん……
水の音。 ...

この年になって
こんな年なのに ...

３月３日はひな祭り。
花を飾ろう。 ...

　みゆきさんは、洗濯物をせっせと手にとっては干していたが
急に動きをとめて、今手に取った洗濯物を凝視していた。 ...

　彼女ができた。
ついに。彼女ができた。 ...

　「まったくなんだってこんなこと……」
そう言って小母さんは　首から下げた白い布に包まれた箱を ...

　小学生の頃、自分はどうやら嫌われているらしいとはうすうす感じていて、理由もなんとなくわかっていた。 ...

　2年前、日本中がその冬一番の寒波に襲われた日
新谷さんが亡くなった。 ...

休日の2時か3時
もしもでかけてたりしたら ...

砂子さんは甘いものが苦手だ。　だけどよくおやつを食べている。そして甘い甘い...

　2013年　5月17日　金曜　午後8時。
おめでとう私。 ...

「ありがとうございます」
そういって　優子ちゃんのお母さんは ...